ベンゾジアゼピン受容体作動薬(向精神薬)の長期処方による減算について
ベンゾジアゼピン受容体作動薬(向精神薬)の長期処方に該当する場合、2019年の4月1日以降の処方から、処方料は29点、処方箋料は40点に減算されます。3月5日現在、その取扱いについて厚労省から新たな通知や疑義解釈は示されていません。基本的な取扱いを紹介します。
【向精神薬長期処方の概要】
〔対象の薬剤〕
抗不安剤、催眠鎮静剤、精神神経用剤又はその他の中枢神経系用薬のいずれかに該当する医薬品のうち、ベンゾジアゼピン受容体作動薬。
※ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー錠等)、ゾピクロン(アモバン錠等)等、非ベンゾジアゼピン系薬剤も含まれる。
※クロナゼパム・クロパザム(抗てんかん薬)とミタゾラム(注射薬)は対象とならない。
(詳細は「保険診療の手引」P.712、対象薬剤の一覧表参照)
〔向精神薬長期処方に該当し減算になる場合〕
対象の薬剤を一年以上にわたって、同一の成分を同一の1日当たり用量で連続して処方している場合。
〔向精神薬長期処方に該当しない場合〕
・定期処方と頓服間の変更については、同一の1日当たり用量には該当せず、連続した処方とはみなされない。
・てんかん治療のために、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を投与している場合は、該当しない。(2018.3.30厚労省事務連絡)
・処方の直近1年以内に精神科の医師からの助言を得て処方している場合は該当しない。
・以下のいずれかに該当する医師が処方を行った場合は該当しない。
1.不安又は不眠に係る適切な研修を修了した医師である。
2.精神科薬物療法に係る適切な研修を修了した医師である。
【研修・助言に関する留意】
・「不安又は不眠に係る適切な研修」は、以下の研修が該当する。
1)日本医師会の生涯教育制度における研修(日医e ラーニングを含む)カリキュラムコード69「不安」又は20「不眠」を満たす研修であって、プライマリケアの提供に必要な内容を含むものを2単位以上取得した場合(2018.3.30 厚労省事務連絡)
2)公益社団法人全日本病院協会による「向精神薬の適正使用に係る研修」(2019.1.30 厚労省事務連絡)
・「精神科薬物療法に係る適切な研修」は、現時点で日本精神神経学会又は日本精神科病院協会が主催する精神科薬物療法に関する研修をいう。ただし、精神科の臨床経験5年以上を有する状態で受講した場合のみ該当する。(2018.3.30 厚労省事務連絡)
・向精神薬多剤投与の減算規定から除外される届出の要件である日本精神神経学会認定の研修を受講している場合は、「精神科薬物療法に係る適切な研修」受講の要件を満たしていることになる。
・「精神科医の助言」については、精神科のみを担当する医師又は精神科と心療内科の両方を担当する医師による助言をいう。(2018.3.30 厚労省事務連絡)
・研修や助言に関して、現時点ではレセプト記載や届出の必要はない。