愛知県保険医協会は、9月9日付で、「オンライン資格確認システム導入義務化の省令告示に対して強く抗議し撤回を求める」理事長声明を、首相・厚労相・総務相・デジタル相あてに送付しました。
厚労大臣は、9月5日、2023年4月からオンライン資格確認システムの導入を原則義務付ける療養担当規則改正の省令を告示した。
愛知県保険医協会が8月8日から実施しているオンライン資格確認に関する会員アンケートでは、71.8%が「義務化」に反対であり、「オンライン資格確認について必要性を感じていない」が62.7%を占めた。システム導入を準備又は運用している医療機関の中でも約4割が必要性を感じていない。「導入しない・導入できない」医療機関は39.4%にのぼる。
会員からは、「負担が増えるばかりで必要性を感じない」「強制には反対」「セキュリティに大いに疑問がある」「コロナ対応でそれどころではない」「義務化されると廃業せざるを得ない」などの声が寄せられている。現在の保険証の目視確認で大きな支障がないにもかかわらず、回線整備やレセコンの買い替え、ランニングコストやセキュリティ対策など、負担とリスクを一方的に医療機関に押し付ける「義務化」に、多くの医療機関が疑問を持っている。
全国でオンライン資格確認の運用を開始している施設は、8月14日時点で医科診療所18.1%、歯科診療所18.8%に過ぎない。オンライン資格確認のシステム導入には専用回線の整備が必要であるが、システム導入の前提となるインフラが未整備の医療機関が大半である。新型コロナ感染拡大で医療機関に非常に大きな負荷がかかっている現状もあり、対応不能となる医療機関が続出することは必至である。このような現状にもかかわらず、2023年4月からの義務化は医療の現場を見ない対応であり、非現実的だと言わざるを得ない。8月24日の厚労省・三師会の合同説明会で、厚労省の担当課長が、2023年4月の義務化施行に間に合わず療養担当規則に違反した場合、「個別指導」に選定されることや保険医療機関の「指定取消事由になり得る」こと等を説明したことは、強権的・恫喝的な姿勢で強く抗議する。
我々医師歯科医師は、地域医療に重大な支障をもたらしかねないオンライン資格確認の原則「義務化」の療養担当規則告示に強く抗議するとともに、医療機関などへのオンライン資格確認システムの導入「義務化」を撤回することを求める。