政治の転換でいのちと生活を守る社会保障の充実を
岸田政権の下で編成された2022年度の社会保障予算は自然増分を削り、その大半を診療報酬マイナス改定分と75歳以上2割負担化による国費削減で占めている。新型コロナ対策予算は、5兆円を計上しているが、ほとんどが2021年度の補正予算分で本予算はわずかとなっている。2021年末のPCR検査等の評価引き下げや診療報酬上の感染防止対策の特例廃止、小児の感染防止の特例も3月で廃止など、医療逼迫に喘ぎながら懸命に頑張り続ける医療機関への支援策は後退の一途であり、医療機関や介護施設への減収補填や中小業者への事業支援、給付金は盛り込まれていない。対照的なのは、病床機能再編支援の推進で、コロナ対応病床不足がいわれる中、病床削減や統廃合を促す予算は確保している。
ロシアのウクライナ侵略に乗じて、憲法に自衛隊を明記することや敵基地への先制攻撃の動きが与党サイドから活発化し、さらには核共有、原発再稼働まで求める動きは断じて認められない。
私たちは、政治の転換で命と生活を守る社会保障の充実をめざし、次の各項目の実現を求める。
記
- 新型コロナウイルス感染症による医療機関への減収補填を行うとともに、医療提供体制の確保及び保健所機能の充実、検査の拡充などの公衆衛生体制の確保に努めること。
- 医療費総枠を拡大し、診療報酬は大幅に引き上げること。マイナンバーカードの保険証利用はやめ、強引な普及を行わないこと。
- 保険でより良い歯科医療を実現すること。金銀パラジウム合金改定にあたり「逆ざや」が生じないよう材料価格設定ルールの見直しなど抜本的な制度改善をすること。
- 社会保障は国の責任で拡充すること。75歳以上の1割から2割への負担増や新たな患者負担増計画は中止・撤回し、窓口負担を大幅に軽減すること。
- 消費税は当面5%に引き下げ、医療にはゼロ税率を適用し、控除対象外消費税負担を解消すること。
- 温暖化対策に逆行する化石燃料依存などをやめ、再生可能エネルギーを拡大し、原発はゼロにすること。
- 平和憲法を守ること。沖縄・普天間基地の即時撤去と辺野古への新基地建設反対。日米地位協定は抜本的に見直すこと。政府は核兵器禁止条約に署名・批准すること。
- いのちを守る医師・歯科医師は、戦争に反対する。ロシアはウクライナ侵略を中止し、即時撤退すること。
- 会員9,200人の一層「たよりになる協会」を築こう。
以上、決議する。
2022年6月19日 愛知県保険医協会第73回定期総会