2006年3月5日

「九条の会」の運動を職場、地域のすみずみにひろげましょう

みなと医療生協「九条の会」代表
江間 幸雄

 
 久しぶりにゆっくりとトリノ冬季オリンピックの開会式を見て感銘を受けました。イタリアならではのパフォーマンスもさることながら、開会式の全体に流れるものは、平和への強い願いであったとの印象を受けました。平和の象徴である鳩を作り出すパフォーマンス、そしてオノ・ヨーコによる平和へのメッセージと、ジョン・レノンのイマジンの歌声が観衆のうねりとなって拡がる、ああ人間も捨てたものじゃないなあと、ひと時の感慨に浸りました。しかし当日のべつのテレビは、グアムに移転するアメリカ軍の訓練の様子を報道していました。あいち医師・歯科医師九条の会「憲法のつどい」で発言する江間幸雄氏アフガン、イラクと破壊と殺戮の限りを尽くしてきたアメリカ軍は、イランの核開発に絡む一連の動きの中で、次なる標的に狙いを定めていることでしょう。そして、そのアメリカの世界戦略の片棒を担ごうとしているのが、日本の小泉をはじめとする好戦勢力であり、多国籍企業化した日本の財界なのです。彼らにとっての目の上のこぶは、言うまでもなく憲法第九条です。九条を変えるため、拉致問題を絡めた北朝鮮脅威論の喧伝、そして靖国で中国、韓国を刺激し、偏狭なナショナリズムを鼓舞し、憲法改定で決着をつけようとしています。世界的にみれば、平和を願う人々の大きな流れと、自らの権益のため、いたるところで争いごとを引き起こしている好戦勢力とのせめぎあいの状態が続いているのです。日本では、平和を願う力が、憲法九条を変えて戦争できる国にしようとする力を押し返すまでには至っていません。急速な運動の広がりが求められています。
 みなと医療生協では、若者が中心になって、2003年のアメリカ軍のイラク侵攻に抗議して、数回の提灯デモを行ってきました。そして2004年6月に発足した「九条の会」の呼びかけに応えて、同じ年の9月に120名ほどの参加で、みなと医療生協「九条の会」を立ち上げました。その後さまざまな活動を展開し、会員も400名を超え、職場や地域で「九条の会」ができつつあります。この運動の中で若い人たちが数多く運動に参加してきたことは、私たちにとって何よりの励みになっています。ただ現在の憲法をめぐる情勢から見れば、飛躍的に運動を広げる必要があります。人の命を守ることを使命としている医療人にとって、人の命を虫けらのように扱う戦争に反対していく、戦争を準備していく憲法九条改定に反対していくことは、当然の責務と考え、運動を広めるため力を尽くしていく決意です。

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