2023年6月27日

子ども医療費助成制度

通院・入院ともに大幅に拡大

保険医協会地域医療部は、2023年4月1日時点での「子ども医療費助成制度」の実施状況を調査し、県内全市町村にあたる五十四市町村から回答を得た。その結果を報告する。

県基準の早急な 引き上げを

子ども医療費助成制度は、愛知県制度が通院で義務教育就学前まで窓口負担を無料にしているが、県内全自治体が県基準を超えて助成を行っている。入院の県制度は中学校卒業までを対象としているが、県内54自治体のうち50自治体(92.5%)が県基準を超えた助成を行っており、県基準の早急な引き上げが求められる。

通院 18歳年度末まで無料が5割超す

通院では、18歳年度末まで無料で医療が受けられる自治体が昨年から15自治体増え、30自治体(55.5%)となった。昨年5月以降に対象を拡大(予定も含む)したのは、豊橋市、春日井市、津島市、安城市、蒲郡市、江南市、小牧市、稲沢市、大府市、尾張旭市、清須市、大口町、扶桑町、大治町、武豊町、幸田町。今回拡充したすべての自治体で窓口負担無料となっている。
昨年から引き続き、愛知県内で通院の医療費を18歳年度末まで拡大する動きが大きく前進している。協会ではこの調査結果をもとに未実施の自治体への働きかけを強めていく。

入院 18歳年度末 まで無料が9割超

入院では、18歳年度末まで窓口負担無料で医療が受けられるのが昨年の43自治体から50自治体(92.5%)となった。18歳年度末までの対象拡大を行っていない自治体は一宮市、常滑市、高浜市、東浦町のみとなっており、早急な制度拡大を求めたい。

24歳まで対象と する自治体も増加

学生に限るなどの条件はあるが、入院の助成対象を「24歳年度末」までに拡充している自治体が、昨年より2自治体増え5自治体となった。新たにみよし市、東郷町が開始した。両市町では、他の自治体に転出した学生でも扶養者が市町内に居住していれば助成対象としており、全国でも例のない条件となっている。2022年12月22日付中日新聞によると、東郷町長は「子育ての不安を減らし、選ばれる町にしたい」と拡充に踏み切った理由を述べている。

所得制限ありの 自治体はゼロに

愛知県内では、多くの自治体が所得制限や自己負担を設けずに助成を実施している。津島市と長久手市は昨年度まであった所得制限を撤廃した。これにより所得制限を設けている県内自治体はゼロになった。
一方、通院で半田市は中学生以上に、大府市は中学校卒業後にそれぞれ一割の窓口負担を設けており、受診抑制につながりかねない。すべての子どもが等しく医療を受けられるよう、両市には窓口負担の早急な撤廃を求めたい。

働く若者に安心を

18歳年度末まで対象を拡大している自治体で、中学校卒業後の就業者を対象としているかどうかについても調査を行った。対象としている自治体は45自治体、対象としていないのは5自治体だった。また結婚した場合対象外となるのは一自治体だった。
経験年数も浅く収入も多くはない若い労働者にとって、怪我や病気による医療費は大きな負担となる。すべての自治体で、就労状況に関わらず助成が行われるよう求めていく必要がある。

入・通院とも 18歳年度末までが主流に

入院・通院ともに18歳年度末まで窓口負担無料で医療を受けられる自治体は、昨年5月以降15自治体増え、30自治体(55.5%)と大きく前進した。病気にかかりやすい乳幼児がいる家庭、ぜんそくやアトピーなど通院の回数が多い子どものいる家庭にとっては医療費が大きな負担となる。特に低所得の世帯にとって、子どもの医療費無料化は切実だ。親も子どもも安心して医療が受けられるよう医療費助成制度の充実が重要だ。
保険医協会は、愛知県基準の引き上げを求めるとともに、入院・通院ともに全自治体で18歳年度末まで自己負担無料で医療が受けられるように、今後も運動を続けていく。

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