2024年2月19日

子ども医療費助成制度

医療・福祉・介護などの拡充を求め、県内全市町村と懇談し要請する「愛知自治体キャラバン要請行動」が昨年10月に実施された。本号から懇談等を通じて明らかになった特徴点を紹介する。

現在、愛知県としての子ども医療費助成制度は、通院で「義務教育就学前」、入院で「中学校卒業」まで現物給付(窓口負担無料)となっている。しかし、近年「子どものいのちや健康を守れ」「子育て世帯への支援拡充を」という声が広がるなかで、愛知県内全ての市町村が県基準を拡大して制度を実施している。

18歳年度末までの助成が大幅に拡大

県内ほとんどの自治体が通院・入院とも中学校卒業まで窓口負担を無料とする助成を行うなかで、対象年齢を18歳年度末に拡大する動きが大きく前進している。
2022年10月以降に18歳年度末までの窓口負担無料を実施または実施予定の自治体は、通院で豊橋市などの20市町。
入院では、一宮市などの13市町が新たに窓口負担無料を実施または実施予定である。その結果、通院では37市町村(県内市町村の69%)、入院では53市町村(同98%)と大幅に拡大している。入院で18歳年度末まで拡大していないのは、高浜市のみとなった。
みよし市と東郷町は対象年齢をさらに拡大し、24歳年度末まで(18歳年度末以降は学生に限る)となった。県内で24歳まで対象としているのは、春日井市などと合わせて5市町となった。
子ども医療費助成制度の拡大はキャラバンでも長年要望しているほか、保険医協会でも毎年、各市町村に要望しており、運動の成果として高く評価したい。

中学生に窓口負担は半田市のみ

通院について少なくとも中学校卒業まで窓口負担無料としている自治体は53市町村(同98%)。県内の自治体で中学生に窓口負担があるのは半田市のみ(中学生以上は1割の窓口負担あり)である。
半田市には一刻も早く中学生の窓口負担を撤廃するよう強く求めたい。あわせて、急速に拡大している18歳年度末までの助成をさらに進めることが重要だ。窓口負担のある半田市、大府市(中卒後に1割の窓口負担)にはその撤廃を引き続き求めていく。

所得制限導入はゼロに

制度の拡充にあたっては、所得制限や窓口負担などを導入させないことも留意したい。所得制限のあった津島市と長久手市がその撤廃に踏み切ったことは運動の成果だ。これにより、県内全ての自治体で所得制限が撤廃された。
なお、18歳年度末まで助成している自治体のうち、6市町村で中学校卒業後の就業者を助成対象外としている。就業者であっても助成の対象にするよう求めたい。

県制度拡大で各自治体の後押しを

キャラバンの懇談のなかで、18歳年度末までへの助成拡大を躊躇する自治体の声もある。背景には、愛知県が2008年に対象を拡大して以降、10年以上通院義務教育就学前まで、入院で中学校卒業までの基準に留まるという消極的な姿勢がある。2013年には県が、子ども医療費助成制度などの福祉医療制度に窓口負担や所得制限の導入を検討した経緯もある。県制度の立ち遅れが、自治体の制度拡充に悪影響を与えている。全国的には、助成対象が愛知県を上回る群馬などの都道府県も現れている。
県内全ての自治体では所得制限が撤廃されたが、このようなときに県が所得制限導入を検討することは、子育て支援に逆行している。県内の多くの自治体が18歳年度末までの助成に踏み出しているなかで、それを支えるためにも県制度の拡充は喫緊の課題である。

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