愛知保険医新聞2022年10月5日号掲載
愛知県保険医協会には、オンライン資格確認資システムの導入「義務化」について、中医協の答申(8月10日)がされた以降、会員から様々な不安や疑問の相談、問い合わせが続いています。
本号は「導入補助金」に関する問い合わせについて紹介します。
Q5.導入補助金の見直しが行われますが、補助内容など変更内容を教えてください。
診療所の場合、顔認証付きカードリーダー1台無償提供とシステム改修などに対して42.9万円を上限として実費補助がされます。6月7日から12月末までの顔認証付きカードリーダーの申込みと、2023年2月末までにシステム業者との契約を行ったことを条件としています。なお、従来通り3月末までの導入完了を要件としています。しかし、機器などの調達、回線等のトラブルなどシステム業者側の対応によって大幅に遅れる事例もあり、導入を希望するすべての医療機関が3月末までに導入完了できるかは不透明です。
顔認証付きカードリーダーの申込み期限は12月末です。システム業者とよく相談して、申込みや導入については慎重に対応してください。
Q6.導入補助金について、2021年4月~2022年6月6日までの間で顔認証付きカードリーダーの申込みを行ったので補助額は42.9万円の3/4補助(32.1万円)ですが、上限額42.9万円との差額は申請できないのでしょうか。
6月6日時点で運用を開始していない医療機関で補助金をまだ受け取っていない場合は、42.9万円との差額を申請できます。2023年1月までに運用を開始することが要件です。申請方法など詳細は明らかになっていません。
Q7.オンライン資格確認等システムの導入費用はどのくらいかかるのでしょうか。
「医療機関等向けポータルサイト」には、診療所の場合、資格確認端末と顔認証付きカードリーダーを1台導入し、オンライン請求回線の増強、レセコン等に対して資格確認等の結果を取り込む機能を導入するケースの目安を示しています。
・資格確認端末関係 14.1~23.8万円
・ネットワーク設定作業等 3.7~13.4万円
・院内ネットワーク関連機器 1.1~8.3万円
・レセコン等の既存システムの改修に係るパッケージソフトの購入及び導入 8.9~24.7万円
オンライン資格確認の導入については、概ね補助金の範囲内で対応できているようです。各医療機関のシステム導入状況や光回線などネットワーク環境によって費用は異なります。光回線が導入されていない場合は新設工事が必要です。光回線が導入できない場合はインターネット接続方式で対応できる説明がされています。いずれにしても、導入を検討されている場合はシステム業者に相談してください。
なお、既設のレセコンが資格確認端末と連携できないなど対応できない場合もあり、システム業者から改修や更新も含め高額な見積が提示された事例もあります。また、システム導入にあわせて電子カルテの導入の提案がされる事例もあるようです。システム業者との契約締結や工事催促などには慎重な対応と見極めが必要です。
Q8.導入後のランニングコストはどのくらいかかるのでしょうか。
月額3,000円~10,000円くらいになります。機器ごとに「保守料」の設定があったり、「利用料」だったり、1年はメーカー保証で2年目からかかるなど、業者により異なります。オプションになっている場合もあります。この他に、光回線など料金がかかります。
更新時の費用、ランニングコストは医療機関が負担することになります。
Q9.オンライン資格確認を導入するとオンライン請求も導入しなければならないのですか。
オンライン請求を行うことは必須になっていません。オンライン資格確認は、オンライン請求の回線環境を使用します。
ただし、2022年10月から新設される「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定にはオンライン請求を行っていることが施設基準となっています。
(おわり)
協会が実施した会員アンケートでは、オンライン資格確認導入「義務化」に71.8%の会員が反対しています。協会は導入「義務化」は医療機関に一方的な負担やリスクを押しつけ、対応できない医療機関を廃業に追い込み、患者の医療アクセスを阻害すると訴えてきました。導入は任意とすべきです。引き続き「義務化」撤回を求め運動を継続していきます。少なくとも実施時期の延長や「義務化」の免除対象の拡大など抜本的な見直しが必要です。地域医療を支えるすべての医療機関を守るために、オンライン資格確認システム導入「義務化」撤回の運動にご協力をお願いします。