(愛知保険医新聞2018年4月15日号)
3月25日に行われた自民党大会において安倍首相は「いよいよ結党以来の課題である憲法改正に取り組む。自衛隊明記によって違憲論争に終止符を打とう」とぶち上げた。しかしちょっと待て、安倍首相は今国会で問題になっている「森友」公文書の改ざんで行政を私物化し、これまでにも秘密保護法、安全保障法制、共謀罪法などで憲法違反を強行しており、その彼に憲法を変える資格などはない。また、今問われているのは合憲か違憲かではないのである。
首相は「自衛隊と明記するだけで何ら変わりはない」と言って国民を安心させようとしているが、これは全くの嘘である。自衛隊が文字通り憲法上の実力組織となり、安保法制が丸ごと合憲化され、限りなく海外での武力行使に道を開くものであることを国民的に明確にする必要がある。
自民党の草案では「自衛の措置をとるために自衛隊を保持する」としているが、この自衛権とは国連憲章51条「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を示しており、決して個別的自衛権に限定されておらず、集団的自衛権も含むフルスペックのものであり、「自衛権」を憲法上で承認することは米国をはじめとする同盟国のために世界中で軍事行動することにつながるのである。憲法の中に軍事行動を認める規定をつくるという重大なことである。
日本国憲法は第2次世界大戦において日本人300万人、アジア人2000万人以上の死者を出した無謀な侵略戦争の反省による反戦の誓いなのである。憲法9条によって戦後70年間戦火を交えることがなかったのである。ところが、安保法制から2年の現在、自衛隊による米軍への防護活動がされるようになり、2018年度予算では巡航ミサイルや空母の計画など専守防衛を超える事態となっている。しかし一方、北朝鮮問題は現在関係国での話し合いが始まっており、軍事対決は解決にならないことを明確に示しているのである。
9条を守って戦争する国にさせない、これは我々医療者の責務でもある。世論調査では、安倍政権下での憲法改正に賛成36%、反対51%、9条改正に賛成33%、反対51%という結果で国民の半数は反対であり、今後さらに、「憲法を守る3000万署名」を急速に広めて、憲法「改正」の国会での発議が出来ないようにせねばならない。