2025年5月26日

2025年第1回評議員会決議

石破政権は防衛費を大幅に拡大するとともに、その財源として社会保障費を削減する姿勢を鮮明にしている。こうした動きは、平和主義に基づく戦後日本の在り方を根本から変え、国民の生活の質を低下させるものである。
政府が進めるマイナ保険証は、今もトラブルが続出している。従来の保険証の有効期限が切れ、マイナ保険証と資格確認書での資格確認を基本とする仕組みに移行した場合、医療機関の事務負担が増えるだけでなく、医療を受ける国民にとっても不利益が増すことは明白だ。実質マイナンバーカードの取得強制となる保険証の廃止は、政府が国民を管理・統制するシステム作りに医療を利用するものである。さらに、取得したデータを民間で利活用することも狙われている。
通常国会で提案された高額療養費の限度額引き上げは、国民の声を受け「凍結」されたが白紙撤回には至っていない。また、OTC類似薬の保険適用除外などの負担増も検討されている。
昨年6月の診療報酬改定では、生活習慣病を中心とした管理料・処方箋料等の「効率化・適正化」などを理由に、医師の診察が評価を引き下げられ、多くの医療機関が減益となっている。
我々医師・歯科医師は、国民のいのちと健康を守り、医療費総枠拡大などをはじめとする医療・社会保障の充実、地域医療体制の確立、平和で不安なく暮らせる社会を築くため、次の各項目の実現を求める。

一、OTC類似薬の保険適用除外をはじめとする新たな医療・介護の負担増計画は撤回し、窓口負担を大幅に軽減すること。高額療養費の限度額引き上げは白紙撤回すること。
一、すべての医療機関が医療従事者の賃金引き上げや諸物価高騰に対応できるよう、基本診療料をはじめ診療報酬を大幅に引き上げること。
一、従来の健康保険証廃止は撤回すること。オンライン資格確認システム・オンライン請求の導入義務化を撤回すること。
一、長期収載品の選定療養制度は撤回すること。
一、保険でより良い歯科医療を実現すること。
一、医療費抑制を目的とした病床削減は行わず、医療提供体制を抜本的に拡充すること。
一、医薬品の安全確保・安定供給のために必要な対策を講じること。
一、消費税は5%に減税すること。医療にはゼロ税率を適用し、控除対象外消費税負担を解消すること。
一、エネルギー政策を抜本的に転換すること。原発は新増設・再稼働・運転延長をやめ、ゼロにすること。ALPS処理汚染水の放出は中止すること。温暖化対策に逆行する化石燃料依存などをやめ、再生可能エネルギーを拡大すること。
一、平和憲法を守ること。防衛費の大幅な増額はやめ、平和憲法を生かした外交を行うこと。沖縄・普天間基地を即時撤去し、辺野古への新基地建設は中止すること。日米地位協定は抜本的に見直すこと。政府は核兵器禁止条約に署名・批准すること。

以上、決議する。
2025年5月25日
愛知県保険医協会2025年度第1回評議員会

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