2025年5月17日

憲法記念日に考える-今まさに日本国憲法が輝く

(愛知保険医新聞2025年5月15日号)

2025年度の予算では、軍事費は8.7兆円を超え、過去最大となった。一方で、「凍結」にはなったが、2000億円のために高額医療費の自己負担を増やすなど、医療費を含む社会保障費を削減する方向を明確にした。
世界に目を向ければ、ロシアのウクライナ侵攻は3年を超え、きっかけがハマスの攻撃ではあったが、イスラエルによるガザへの「ジェノサイド攻撃」も続き、一般市民の死者も増え続けている。戦争は、始めるのは簡単だが、収束するのは極めて困難で、トランプ氏の豪語は絵空事でしかなく、泥沼化するばかりである。そればかりか、過去の経験から大戦のきっかけともなった貿易戦争が、トランプ氏主導で開始されている。
日本国憲法第九条は、第二次世界大戦の教訓から、戦争をしないことを高らかに宣言した。政府は、北朝鮮の核武装や台湾有事を盛んに宣伝し、日本は対抗的に軍備強化が必要と主張しているが、果たしてそうであろうか。北朝鮮が率先して日本を攻撃することがあるだろうか。核兵器を使用することがあるだろうか。客観的に見れば、それはあり得ない。核兵器を使用しなくても、原発を攻撃すれば同じ効果があるし、そもそも日本を攻撃するメリットは全くない。
台湾有事を考えても、中国が日本に先制攻撃をするのではなく、日本がアメリカの先兵となり中国へ攻撃をすることで日本が米中戦争に巻き込まれる危険性の方が高いのではないか。日本が戦争に主体的に参加することは不可能だ。食料自給率が40%を切っており、エネルギー自給率は15%程度で、戦争にはとても耐えることはできないのだ。
だからこそ、日本国憲法は国際法に基づく話し合いでの解決を希求することを宣言し、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と謳ったのである。国連憲章もその前文で「国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し」と述べている。そのことを憲法で明確にしているのがまさに日本なのである。
今こそ、軍拡や核抑止ではなく、日本国憲法の平和主義に則り、平和外交こそが世界平和への道であることを高く掲げ、日本がその先頭に立つべきではないであろうか。

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