2022年5月18日

新型コロナ対策-すべての医療機関に支援を

(愛知保険医新聞2022年5月5・15日合併号)

協会が行った新型コロナウイルスの感染拡大による医療機関への影響を調査するためのアンケートには、医科544件(協力率16.2%)、歯科百70件(同8.9%)の回答が寄せられた。

2020年2月と2022年2月診療分の外来患者数の比較については、医科で66%、歯科で65%が「減った」と回答。多くの医療機関で、新型コロナの流行前の水準にも戻っていない状況が明らかとなった。新型コロナ感染者の治療をしている医療機関はもちろん、一般診療を行っている医療機関も地域医療を支える重要な役割を担っていることから、全ての医療機関を対象にした補償制度等の拡充は急務だ。

しかし、今次診療報酬改定は医療機関の願いに沿う内容になっていない。PCR検査の点数が大幅に引き下げられ、検査を行っている医療機関からは「検査をすると損をする状況」との声が上がっている。新設された外来感染対策向上加算は施設基準や算定要件が厳しく利用しづらいものとなっている。保険医協会・保団連では、PCR検査点数の引き上げや外来感染対策向上加算の要件緩和・点数の引き上げを緊急に要望している。さらに、全ての医療機関が地域医療を支えるために奮闘しており、感染対策などの経費も大幅に増加していることから、初・再診料の引き上げを行うことも不可欠だ。

アンケートでは「今年に入ってから紹介患者を受け入れてもらえなかった事例がある」との回答が医科では21%にのぼった。新型コロナ患者の受け入れはもちろん、それ以外の一般疾病にも影響が及んでおり、脳梗塞の患者が搬送までに一時間半を要した事例もあった。助かる命を失うことに繋がりかねない深刻な状況だ。さらに自宅療養者の診療を行った医療機関のうち17%が「今年に入ってから自宅療養中に重症化する事例を経験した」と回答しており、入院が必要でもできなかったとの事例も多数寄せられている。

アンケートでも明らかなように愛知県内でもコロナ禍で病床が逼迫したことは間違いない。しかし、政府や愛知県は地域医療構想等による病床削減をコロナ前と同じように推進している。協会・保団連では、病床削減計画を撤回するよう求めているが、少なくとも今回の事態を受けての検証を行うべきで、検証が終わるまでは計画を凍結する必要がある。あわせて、保健所体制の脆弱さも浮き彫りとなっており、保健所体制の抜本的強化も強く求めたい。

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