技術料本体は0.23%増、薬価等の引き下げで実質マイナス1.14%
12月22日の大臣折衝で、2022年4月の診療報酬の改定率は全体(ネット)でマイナス0.49%(実質マイナス1.14%)とすることが合意された。同日の資料では、診療報酬本体の改定率は0.43%の引き上げとされているが、政府方針による特例的な対応分である「コロナ医療など一定の役割を担う医療機関の看護職員の処遇改善」0.20%、「不妊治療の保険適用」0.20%の引き上げ分と、「医科の乳幼児感染予防策加算の廃止」0.10%、「リフィル処方の導入」0.10%の引き下げ分を除くと、実質の技術料本体改定率はわずか0.23%(医科0・26%、歯科0.29%、調剤0.08%)の引き上げとなる。また、薬価等の改定で1.37%(薬価1.35%、材料価格0.02%)が引き下げられるため、トータルでは5回連続のマイナス改定となった。
医療改善につながらない改定率
技術料本体0.23%の国費ベースの財源は、前回改定の半分の約250億円であり、今回も薬価等の引き下げ分が本体改定分には充当されず、改定に必要な財源は十分確保されなかった。医療経済実態調査で明らかとなった病院の赤字や診療所での損益差額減少などの経営状況を反映したものとは言えず、今回改定はこの2年間に新型コロナの感染拡大の受診抑制などの影響を受けながら、感染防止対策や治療、ワクチン接種等で奮闘してきた医療機関にとっては、非常に厳しい改定となる。
患者のニーズに対応し、安心安全な医療提供を行うとともに、医療の質を向上させていくために、協会では、今後も医療費の総枠を拡大して診療報酬の大幅引き上げを求めていく。
中医協での議論
中医協総会では、12月15日に不妊治療の保険適用について議論がされた。保険適用となる医療技術等の範囲について、生殖医療ガイドラインに掲載されている医療技術(男性不妊治療含む)及び医薬品等のうち推奨度A及びBと、一般不妊治療(タイミング法及び人工授精)について保険適用にする案が厚労省から示された。対象患者は「不妊症と診断された特定の男女」とし、事実婚等についても対象とされた。また対象年齢は、女性の治療開始時点の年齢が「43歳未満」とされ、1子あたりの回数制限については、40歳未満は6回、43歳未満は3回と、現在の特定不妊治療助成事業と同じ要件が承認された。その他施設基準のあり方や、第三者提供の生殖補助医療等を保険適用外とすること、メンタルケアの評価のあり方などが示され、概ね異論なく承認された。
12月17日には、かかりつけ医機能に関する評価について議論された。機能強化加算について、支払側は地域包括診療料・地域包括診療加算の届出医療機関でも一部で算定実績がないことを問題視し、同診療料や加算等の算定実績の要件化を訴えた。さらに、外来管理加算や特定疾患管理料と地域包括診療料・同加算を整理し、併算定不可とする私案の提言もされた。
12月22日は、オンライン診療の評価などが議論された。対象患者や算定要件、施設基準など対面診療との関係を考慮した評価について、診療側は「オンラインでは触診や検査・処置などできないものが多く存在する。重症度の高くない患者を対象とすべき」「対面診療の補完であり、同等評価をするものではない」などと主張した。これに対し支払側からは「対面診療との差を縮めるべき。算定回数1割以下の要件の撤廃を」と主張した。その他では、オンライン資格確認推進のための評価などについても議論された。(つづく)