2020年度個別指導における主な指摘事項(医科)2

 前号に続き、昨年度に愛知県で実施された個別指導における主な指摘事項を掲載する。日常診療の留意点として確認されたい。

【在宅医療】
・往診料について、定期的ないし計画的に患家に赴いて診療をした場合に算定している。
・在宅患者訪問診療料について、〔1〕患者又は家族等の署名付きの同意書を作成していない、〔2〕訪問診療計画又はその変更、診療内容の要点に関する診療録への記載がない(不十分)、〔3〕診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所について診療録記載がない。
・在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、〔1〕往診の翌日に訪問診療料を誤って算定している、〔2〕往診料を算定すべきところ誤って訪問診療料を算定している(看取り加算を誤って算定している)。
・在宅患者訪問点滴注射管理指導料について、診療報酬明細書への点滴注射を行った日の記載が誤っている。
・訪問看護指示料について、訪問看護指示書に記載された内容が画一的である。
・在宅自己注射指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、在宅人工呼吸指導管理料、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料などについて、当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点に関する診療録記載がない(不十分)。
・在宅酸素療法指導管理料に関して、動脈血酸素分圧の測定結果に関する診療報酬明細書への記載がない。
・在宅療養指導管理材料加算の血糖自己測定器加算に関して、患者に血糖自己測定をさせた結果が適切に管理されていない。

【検査・画像診断】
・画一的、傾向的な検査の実施が認められた。検査は、個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、必要最小限の回数で実施する。
・検査の必要性、結果及び結果の評価に関する診療録記載がない(不十分)。
・誤って血液採取(静脈)を算定している。
・コンタクト検査料1に関して、コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対してコンタクトレンズ検査料を算定すべきところ、誤って以下の眼科学的検査を算定している(矯正視力検査(1以外)、調節検査、精密眼圧測定、細隙燈顕微鏡検査(前眼部)、精密眼底測定、静的量的視野検査、眼底三次元画像解析)。
・内視鏡検査の際に算定する使用フィルムは16㎜フィルムが対象であることに留意する。
・画像診断について、診断所見に関する診療録記載がない(不十分)。

【投薬・注射・薬剤料等】
・特定疾患処方管理加算について、主病が対象疾患でない患者に算定している。
・特定疾患処方管理加算2に関して、算定対象となる主病に関する薬剤の処方が28日未満の場合に、誤って算定している。
・ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が診療録に記載されていない。
・一般名処方加算は、患者があらかじめ先発医薬品を希望している場合には、算定に当たって十分留意する。
・後発医薬品の使用の考慮、患者に後発医薬品の選択機会の提供などの対応に努める。
・調剤技術基本料に関して、薬剤師が常態として勤務していない場合に、誤って算定している。
・静脈内注射で算定すべきところ、誤って皮内、皮下及び筋肉内注射で算定している。
・注射の必要性及び投与の効果に関する診療録への記載が不十分。
・同一の薬剤の注射(投薬)は、みだりに反復せず、症状の経過に応じて内容を変更する等の考慮をする。
・注射は、〔1〕経口投与をすることができない、〔2〕経口投与による治療の効果を期待できない、〔3〕特に迅速な治療を要する、〔4〕その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難である等、使用の必要性を考慮した上で行う。

【処置、手術】
・処置について、適宜、医学的な必要性、有効性の評価を行い、頻回に漫然と実施しないよう留意する。
・睫毛抜去に関して抜去した本数の診療録記載がない。
・手術記録に関する診療録記載がない。

【一部負担金等】
・受領すべき者(家族・従業員)から一部負担金を徴収していない。
・外来患者の一部負担金を、診療の都度、徴収していない。
・診療録と日計表の一部負担金の金額が相違している。

【その他】
・診療報酬の請求にあたって、保険医自らが診療録との突合を行い、記載要領や算定項目に誤りや不備等がないか十分確認する。
・診療部門と事務部門が十分な連携を図り、適正な保険請求に努める。
(おわり)

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