新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する行政検査の請求
新型コロナウイルス感染を疑って検査を行い保険請求する場合は、自治体と委託契約を締結する必要がある(遡及あり)。医師会が集合契約をしており、検査の請求について質問が増えている。医療機関が行政検査として行った検査の請求について留意点を掲載する。
(1)算定点数
1.抗原検査を行った場合
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(600点)
免疫学的検査判断料(144点)
2.核酸検出(PCR)検査を行った場合
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出(1,800点)
微生物学的検査判断料(150点)
3.鼻咽頭拭い液で検体を採取した場合
鼻腔・咽頭拭い液採取(5点)が算定できる。唾液を採取した場合は採取料の算定はできない。なお、検体採取料は公費の対象とはならない。
※発症後、1または2の結果が陰性であっても、COVID-19以外の診断がつかない場合、さらに1回に限り算定できる。レセプト「摘要」欄に、「必要と判断した医学的根拠」を記載する。
(2)請求方法
1.(1)の1または2の点数は公費併用として請求し、当該点数の一部負担金は徴収しない。
2.「公費負担者番号1」欄に「28」で始まる公費負担者番号を、「公費負担医療の受給者番号1」欄に「9999996」と記載する。
3.「公費1の一部負担金額」欄は「0円」と記載する。
4.「摘要」欄に「委託した検査会社名、検査が必要と判断した医学的根拠」を記載する。
(3)検査が包括されている医学管理等または入院料算定の場合の請求
1.検査が包括されている小児科外来診療料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、生活習慣病管理料、手術前医学管理料、在宅がん医療総合診療料を算定した場合も、別にレセプトを作成し、(1)の1または2の点数が算定できる。
ア.小児科外来診療料等、(1)の1または2以外の点数は、通常どおりレセプトを作成し請求する。
イ.(1)の1または2の点数の請求は、上記アのレセプトとは別に紙レセプトで請求する。また「摘要」欄に「委託した検査会社名、検査を実施した日時、検査実施の理由、本検査が必要と判断した医学的根拠、当該患者が算定する医学管理料等」を記載する。
2.検査が包括されている療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料等を算定した場合も、(1)の1または2の点数が算定できる。入院料のレセプトとは別に紙レセプトを作成し、「摘要」欄に「委託した検査会社名、検査を実施した日時、検査実施の理由、本検査が必要と判断した医学的根拠(診断を目的とした場合に限る)、検査の結果(退院可能かどうかの判断を目的とした場合に限る)、当該患者が算定する入院料」を記載する。
なお、9月28日付の臨時的取扱いにより、検査が包括されている医学管理料などを算定している場合において、電子レセプト1枚で医学管理料などと検査の点数をまとめて記載できれば、紙レセプトは不要となりました。
(4)その他の留意点
1.新型コロナウイルス感染症患者(疑いを含む)に対して、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」等に基づき院内感染防止対策等を実施し診療を行った場合、院内トリアージの届出をしていない医療機関であっても、院内トリアージ実施料(300点)が算定できる。初診時、再診時、往診等の場合でも、受診の時間帯によらず、また月1回に限らず算定できる。
2.初診料や再診料、院内トリアージ実施料、処方箋料など、(1)の1、2以外の点数は公費負担とはならないので、当該点数の一部負担金は徴収する。