健保だより(2019年5月15日号)

医療法改定による広告規制の見直し

 2018年6月から改定医療法の実施に伴い医療機関のウェブサイトも広告規制の対象とされている。厚労省から示された医療広告ガイドラインやそのQ&Aに沿って、改めて注意すべき広告規制の主な内容を紹介する。

禁止されている広告
(1)虚偽の広告
(2)比較優良広告
(3)誇大広告
(4)公序良俗に反する内容の広告
(5)患者その他の主観又は伝聞に基づく体験談の広告
(6)治療等の内容又は効果について患者を誤認させるおそれがある
   治療等の前又は後の写真等の広告

【具体例】
◎「最先端の医療」や「最適の医療」、「最良の医療」や「最上の医療」などの表現。
→「最先端」や「最適」の表現は誇大広告に、「最良」や「最上」の表現は比較優良広告に該当し、広告できない。
◎手術や処置等の効果又は有効性を強調するもの。
→撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、その効果又は有効性を強調することは、国民や患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあることから、そうした写真等については誇大広告として扱われる。
◎ウェブサイト上の口コミ情報を掲載する。
→患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談は、今回新たに規定された広告禁止事項である。特に当該医療機関にとって便益を与えるような感想等を取捨選択し掲載するなどして強調することは、虚偽・誇大に当たるため、広告できない。
◎医師等の専門性に関する資格名を広告する。「○○学会認定××専門医」というような表現。
→「広告が可能な医師等の専門性に関する資格名等について」(平成25年5月31日付けの医政総発0531第1号医政局総務課長通知)において示された資格名等については広告可能。そうでないものは、「広告可能事項の限定解除要件」(※下記参照)を満たした場合に、広告可能となる。
◎医療従事者の略歴として、学会の役員又は会員である旨を広告する。
→略歴として記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的事実であってその正否について容易に確認できるものであることが必要。例えば地域医師会等での役職、学会の役員である旨については、現任であれば広告は可能だが、当該法人又は当該学会のウェブサイト上等でその活動内容や役員名簿が公開されていることが必要となる。また学会の役員ではなく、単に会員である旨は、原則として広告できない。
※広告可能事項の限定解除要件
 患者が自ら求めて入手する情報については広告可能事項の限定を解除されるが、以下の(1)~(4)のいずれをも満たす必要がある((3)(4)は自由診療のみ)。
(1)医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準ずる広告である(メールマガジン、求めに応じて送付するパンフレット等)、(2)表示される内容について、患者等が容易に照会できるよう問い合わせ先(電話番号、メールアドレス等)を記載する等の方法により明示する、(3)自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること、(4)自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報提供をすること。
【違反した場合】
 医療法第6条の8や医療広告ガイドラインの「広告指導の体制及び手順」によると、違法性が疑われる段階では、各都道府県等において、まずは調査や指導が行われる。違反したと認められる場合でも、当該広告を中止又はその内容を是正するための一定の期限が設けられるので、その間に適切に対応すれば、行政処分や告発等の罰則にはならない。県や保健所から文書が届いた場合はすぐに確認することが大切である。

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