2023年度(令和5年度)に東海北陸厚生局管内(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県・石川県・富山県)で実施された個別指導における指摘事項を掲載する。日常診療の留意点として確認されたい。なお、今回が全6回の最終の回となる。
Ⅱ 管理・請求事務等に係る事項
1 診療録等
(1)診療録の様式が、定められた様式(保険医療機関及び保険医療養担当規則様式 第一号(一))に準じておらず、労務不能に関する意見欄がない。
(2)診療録の取扱いについて、保険診療の診療録と保険外診療(健康診断)の診療録とを区別して管理していない。
(3)電子的に保存している記録の管理・運用について
(ⅰ)最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠していない。
(ⅱ)アクセス権限について、医療情報システムの利用用途とアクセス範囲、アクセス権限等のリスク評価に基づいた正しい付与が行われていない。
(ⅲ)定期的に職員に対し個人情報の安全管理に関する教育訓練を行っていない。
(ⅳ)パスワードについて、次の不適切な例が認められた。
・ 6文字の文字列とし、有効期限を6カ月としている。
・ パスワードの文字列及び有効期間を適切に設定していない。
・ 英数字・記号を混在させた8文字以上の推定困難な文字列を定期的(最長でも2カ月以内)に変更させるものとなっていない。
(ⅴ)代行入力により記録された診療録等について、確定者による「確定操作(承認)」が行われていない。
(ⅵ)代行入力された内容を確認せずに確定操作を行っている。
(ⅶ)異動・退職した職員のIDの管理が適切に行われていない。
(ⅷ)特定のIDを複数の職員が使用している。
(ⅸ)運用管理規程を定めていない。
2 診療報酬明細書の記載等
(1)診療報酬の請求に当たっては、医師と請求事務担当者が連携を図り、適正な保険請求を行うこと。また、診療報酬明細書を審査支払機関に提出する前に、医師自ら点検を十分行うこと。
3 一部負担金
(1)一部負担金の受領について
(ⅰ)受領すべき者から受領していない。
(ⅱ)未収の一部負担金に係る納入督促をしていない。
(ⅲ)過分に受領した一部負担金に係る返金をしていない。
(2)領収証等の交付について、一部負担金の発生しない患者(全額公費負担を除く)について、明細書を発行していない。
4 保険外負担等
療養の給付とは直接関係ないサービスとはいえないものについて、患者から費用を徴収している。
5 届出事項等
(1)掲示事項について
(ⅰ)保険医療機関である旨の標示がない。
(ⅱ)施設基準に関する事項を掲示していない。
(ⅲ)明細書の発行状況に関する事項の掲示について、一部負担金等の支払いがない患者に関する記載がない。
(ⅳ) 保険外負担に関する事項を掲示していない。
(2)次の届出事項の変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局長に届け出ること。
(ⅰ) 診療時間の変更
(ⅱ)保険医の異動(常勤・非常勤)