2023年度(令和5年度)に東海北陸厚生局管内(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県・石川県・富山県)で実施された個別指導おける指摘事項を掲載する(全6回)。日常診療の留意点として確認されたい。
Ⅰ 診療に係る事項
7 投薬・注射、薬剤料等
(1)保険診療において薬剤を使用するに当たっては、医薬品医療機器等法承認事項を原則遵守すること。
(2)薬剤の投与について
(ⅰ) ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載していない。
(ⅱ) 病名によりビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断できない場合であるにもかかわらず、診療報酬明細書にビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断する趣旨の記載がない。
(ⅲ) ビタミン剤については、当該患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝異常であることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合その他これに準ずる場合であって、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断し、適正に投与された場合に薬剤料を算定すること。
(3)投薬について
(ⅰ) 処方料の特定疾患処方管理加算1について、算定対象の疾患が主病でない患者に対して算定している。
(ⅱ) 特定疾患処方管理加算2について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 算定対象の疾患が主病でない患者に対して算定している。
イ 算定対象となる主病以外の疾患に係る薬剤を28日以上処方して算定している。
(4)注射について、経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している。
注射については、経口投与をすることができないとき、経口投与による治療の効果を期待することができないとき、特に迅速な治療をする必要があるとき、その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難であるとき等、使用の必要性について考慮した上で行うこと。
8 リハビリテーション
(1)疾患別リハビリテーションについて
(ⅰ) 別紙様式21を参考としたリハビリテーション実施計画書を作成していない。
(ⅱ) リハビリテーション実施計画書について、計画書の内容が個々の患者の状態に応じた記載になっていない。
(ⅲ) リハビリテーション実施計画書の写しが診療録に添付されていない。
(ⅳ) リハビリテーション実施計画書の作成前に疾患別リハビリテーションを実施する場合に、医師が自ら実施していない又は実施するリハビリテーションについて医師の具体的指示がないにもかかわらず、当該疾患別リハビリテーション料を算定している。
(ⅴ) 機能訓練の記録について、機能訓練の内容の要点に係る診療録等への記録がない。
(ⅵ) 適応及び内容について
ア 医学的にリハビリテーションの適応に乏しい患者に実施している。
イ 対象疾患に該当するとした診断根拠が確認できない。
ウ 適応及び内容について、医学的に最も適当な区分とは考えられない区分で算定している。
エ 要介護被保険者等に対し、それぞれ発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から、50日を経過した後に、引き続きリハビリテーションを実施する場合において、過去3月以内にH003-4に掲げる目標設定等支援・管理料を算定していない場合に、所定点数の100分の90に相当する点数により算定していない。
(ⅶ) 実施時間について、個別療法の訓練時間が40分に満たないものについて、2単位で算定している。
(ⅷ) 標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者のうち、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合において、診療報酬明細書の摘要欄への継続の理由の記載が不十分である。
(ⅸ) リハビリテーション実施時に患者が要介護被保険者等かどうかを確認していない。
(2)リハビリテーション総合計画評価料について
(ⅰ) 医師が単独で作成し、多職種で共同して作成していない。
(ⅱ) リハビリテーション総合実施計画書に基づいて行ったリハビリテーションの効果、実施方法等について共同して評価を行っていない。
(ⅲ) リハビリテーションが開始されてから評価ができる期間に達しているとは考え難い場合で算定していない。
(ⅳ) リハビリテーション実施計画書について、「これまでのリハビリテーションの実施状況(リハビリテーションの頻度)」欄を記載していない。
(3)目標設定等支援・管理料について
(ⅰ) 目標設定等支援・管理シートを作成していない。
(ⅱ) 目標設定等支援・管理シートに基づいた説明について、当該説明を患者等がどのように受け止め、どのように反応したかに係る診療録への記載がない。
(4)摂食機能療法について
(ⅰ) 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって、他覚的に嚥下機能の低下を確認しないで算定している。
(ⅱ) 毎回の訓練の実施時刻(開始時刻と終了時刻)について、診療録等への記載がない。
(5)がん患者リハビリテーション料について、がん患者リハビリテーションを行う際に、リハビリテーション総合計画評価料1を算定していない。