愛知保険医新聞2025年1月25日号掲載
保団連勤務医委員 平井 長年
2024年4月より医師の働き方改革が開始された。当協会でも医師数増員の署名に取り組み110筆の協力を得た。全国的には2025年3月一杯で集約され厚労省交渉等が行われるはずである。
第17回保団連勤務医委員会が2024年11月1日にWEBで開かれ参加した。保団連組織部から8人、宮城から沖縄まで13協会23人が参加した。各協会からの報告の一部を紹介したい。
大阪協会は医療ガバナンス研究所の上昌広理事長の論考を紹介した。財務省は「医師数は過剰だから減らせ」、厚労省は偏在が問題、地域の偏在・診療科の偏在・勤務医と開業医の偏在を問題視する。その対策としてドイツのように地域別、診療科別の定員を設ける事を強調する。確かにドイツでは地域の供給水準が110%を超えると新規開業を制限する。しかしドイツの医師数は2020年で人口当たり日本の1.7倍、医学部学生数は2倍。厚労省は医師過剰を喧伝してきたがこれが正しいとすると、ドイツの医師の将来は絶望的だ。しかしドイツの若者にはそのような思いはなく、医学部の評価・人気は高い。日本では財務省や厚労省が様々な規制をかけるが、ドイツでは医師の開業を許可するのは地域の医師会の権限だ。
長崎協会は冨田伸次郎常任理事が報告した。長崎県は全国で9位の医師多数県である。九州沖縄では福岡県・沖縄県に次ぎ3位。しかし長崎市・諫早市・大村市の都市に集中し周辺離島は少数、長崎は離島を多く抱え人口は少なくてもカバーする医師は多くなる。厚労省は医師の絶対数が少ない事を認めず、地域の偏在を問題にし医師多数県の臨時定員地域枠を2025年度は2割減らす方針だ。すると現状22人が18人に減少する。本当にそれでよいのか。医師多数県と少数県、県内都市部とへき地の分断をまねくのではないかと危惧している。
保団連のホームページには勤務医のページがあり、2024年6月2日勤務医交流会の本田宏氏(NPO法人医療制度研究会理事長)の講演会の視聴、勤務医コラムの閲覧もできる。多くの人に利用して頂けたらと思う。
保団連勤務医のページ
https://hodanren.doc-net.or.jp/kinmui/