医科診療報酬改定情報(2)

 中医協では、2024年度の診療報酬改定に向けて2巡目の議論が行われている。10月4日の総会では「在宅医療(その2)」が取り上げられ、往診・訪問診療、在医総管・施設総管、24時間体制確保、緩和ケア・看取り、訪問栄養などに関わる現状と課題が示された。
 厚労省の資料では、患者の特性に応じた訪問診療の提供について、要介護度が高い患者への訪問診療の重点的評価(引き上げ)、施設総管における複数患者に対する頻回訪問の評価の見直し(引き下げ)、往診料については、一部医療機関における夜間休日深夜の往診の実態を踏まえた評価、訪問診療がない患者に対する往診料の見直しなどが論点として示された。
 その他、24時間の医療供給体制の確保としての支援診・支援病以外の医療機関と機能強化型を含めた支援診・支援病との連携のあり方、どのような療養の場所でも充実した緩和ケアを提供するためのがん患者に対するICT等を用いた連携のあり方、患者が望む看取りを行うための切れ目のない医療提供体制、訪問栄養食事指導における支援診・支援病の役割や都道府県栄養ケア・ステーションとの連携などの論点も示され、評価のさらなる重点化・メリハリをつけていく方向での議論が促された。
 議論では、診療現場の実情を踏まえて慎重な議論を求める診療側委員に対して、支払側委員はさらなる効率化・適正化を主張した。特に往診については、支払側委員が「往診は緊急時に外来を受診できない患者を想定しているが、実態は違うのでないか」と述べたのに対して、診療側委員からは「患者の状態によってさまざまな背景がある」「訪問診療の有無などで区別することは必ずしも現場の実態に合っていない」などの異論が出された。

訪問診療等のオン資確認などを了承
 10月11日の中医協総会では、厚労大臣による諮問を受け、(1)訪問看護におけるオンライン資格確認の導入、(2)「居宅同意取得型」を用いた訪問診療等・オンライン診療におけるオンライン資格確認の対応、(3)オンライン請求の推進に伴う所要の見直しが議論された。
 (2)については、訪問診療等を実施する際のオンライン資格確認が義務化されることを受けて、モバイル端末等を用いて確認する「居宅同意取得型」の具体的な仕組みが提案された。訪問診療等では、初回は医療機関が患者宅等に持ち込んだモバイル端末等を用いて、患者の薬剤情報等の提供に関する同意や、四桁の暗証番号の入力とマイナンバーカードの読み取りを行い、2回目以降は医療機関が初回に取得した患者の被保険者番号を用いて資格情報を照会する(照会機能)とされている。また、モバイル端末等の導入やレセコンの改修の際の財政支援の額も示された。

マイナ保険証の利用実態は4.7%
 オン資義務化に関する参考資料として、10月1日時点のオン資導入経過措置の届出(4,669施設)の内訳が示された。▽システム整備中454施設、▽ネットワーク環境事情1,458施設、▽訪問診療のみ228施設、▽改築工事中・臨時施設36施設、▽休廃止予定968施設、▽自然災害等8施設、▽高齢医師等でレセプト少ない417施設、▽その他特に困難な事情1,100施設となっている。
また、8月分のオン資確認の利用状況なども出されたが、オン資確認システムを活用した資格確認のうち、マイナンバーカードによるものはわずか4.7%で、ほとんどが保険証によるものとなっており、来年秋の保険証廃止によるトラブルや混乱が危惧される。

オンライン請求で療担規則等の見直し
(3)については、オンライン請求の実質「義務化」方針について、一部の紙レセプト請求機関とオンライン資格確認導入の原則義務化の例外とされた機関を対象外とする療養担当規則等の見直しが提案された。提案内容は9月7日の社保審医療保険部会で確認され、パブリックコメントが募集されたもの(本紙10月15日号参照)であり、2024年10月以降もオンライン請求以外の請求方法を継続する場合、電子媒体請求医療機関は移行計画の提出、紙請求機関は再度の届出が必要とされる。
 諮問の内容については、関連法令の改正等の文案も示された10月18日の中医協総会で、診療側・支払側とも異論なく了承され、当日厚労大臣への答申が行われた。今後、厚労省から省令改正や通知が発出される予定だ(詳細は次号を予定)。
 その他10月18日の総会では、がん対策について、外来化学療法における基準や指針の策定のあり方、専任の医師等を常時一人配置できない施設における時間外対応の連携、薬剤師による診察前の服薬や副作用の状況等の面談など、脳卒中対策では、t―PA静注療法や血栓回収療法などにおける連携と体制評価について、課題と論点が示された。

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