厚労省から発出された事務連絡「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」(7月10日付通知)と、「マイナンバーカードによる資格確認を行うことができない場合における診療報酬等の請求の取扱いについて」(7月19日付事務連絡)の概要を紹介する。これらに対する疑義解釈(省略)が8月3日付けで示されているが、医療機関にも患者にも負担をかけるものであり、支払の遅延などさまざまな問題が指摘されている。通常の保険証を持参いただくよう周知が必要である。
1.マイナ保険証によりオンライン資格確認ができないケースとは
(1)オンライン資格確認の結果「資格(無効)」「資格情報なし」と表示される場合
(2)以下のように医療機関等の機器不良等で資格確認ができない場合
・顔認証付きカードリーダー等の故障
・患者のマイナンバーカードが券面汚損、ICチップの破損で使用できない
・停電、施設の通信障害等
((2)の場合は、オンライン資格確認等システムのシステム障害時モードや目視モードの立ち上げ、暗証番号の入力等で資格確認ができる場合もある)
2.患者窓口負担と請求方法
上記1のケースで資格確認ができない場合は、以下の①~⑤のいずれかの場合で請求する。
(1)患者自身がマイナポータルにアクセスして保険資格情報を提示できる場合
→自己負担分(3割等)の支払いを求め、通常の請求方法で請求する。
(2)患者が保険証も持参している場合
→自己負担分(3割等)の支払いを求め、通常の請求方法で請求する。
(3)他の(1)(2)(4)(5)による確認は行えないが、有効な保険証の交付を受けている場合(不詳による請求)
→患者にマイナンバーカードの券面情報、連絡先、保険資格等に関する事項、一部負担金割合等を「被保険者資格申立書」(PDF)に記入してもらい、患者が申し立てた自己負担分(3割等)の支払を求める。
事後的に患者へ連絡をしても資格情報(喪失済みも含む)が確認できない場合は、以下の方法で請求する(9月の請求から可能)。
【保険者番号】…「77777777(8桁)」
【被保険者等記号・番号】…「記号」は記録しない。「番号」は「777777777(9桁)」、後期高齢者医療の場合は「77777777(8桁)」
【摘要欄】…先頭に「不詳」を記録する(紙レセの場合は、上部欄外に赤色で不詳と記載)。「不詳」の下段に、被保険者資格申立書に記載された患者のカナ氏名、保険種別、保険者等名称、事業所名、住所、連絡先、患者への連絡を行った日付を記録する。
*審査支払機関で特定できない場合は各保険者等で按分して支払われる。
(4)過去に受診歴等がある患者で、その時から資格情報が変わっていないことを口頭で確認でき、「被保険者資格申立書」に記載すべき情報を把握できている場合
→「被保険者資格申立書」の提出があったものとして取り扱い、自己負担分(3割等)の支払いを求め、通常の請求方法で請求する。
(5)有効な保険証が発行されている場合は、患者の現在の資格情報が確認できていなくても「資格(無効)」画面に表示された喪失済みの資格や、過去の受診歴から確認した資格情報(旧資格情報)がある場合
→この場合は【摘要欄】に「旧資格情報」である旨を記録して請求する。
*喪失済みの資格に基づきレセプト請求をした場合でも、医療費の審査支払の時点で新たな保険者等からデータ登録がなされていれば、医療機関に返戻されることなく、新たな保険者への請求を自動的に振り替えることが基本となる。ただし、公費併用請求等はレセプト自動振替ができないので返戻される場合があり、その場合は上記(3)で請求する。
※患者がマイナンバーカードまたは保険証のいずれも持参していない場合
→医療費の全額(10割)を請求することを基本とする。ただし、患者が再診であり過去の受診歴等や身元が分かる患者で、次回来院等に資格の確認ができる場合などには個々の医療機関の判断で窓口負担を3割負担等にする柔軟な対応は妨げない。