健保だより 薬剤の紛失、処方箋の紛失・期限切れの場合の再交付(2023年6月5日号)

 処方した薬剤を持ち帰りの途中や自宅等において患者が紛失した場合、あるいは交付した処方箋を紛失した場合等の再交付の取扱いについて解説する。

(1)薬剤を紛失した場合

1.医療機関で処方した薬剤を紛失した場合
患者が持ち帰りの途中や自宅等において薬剤を紛失し、再度処方が必要となった場合は、天災地変その他やむを得ない場合を除いて、再処方した薬剤の費用は患者負担(自費)となる。
なお、カルテに「薬剤の紛失により自費で再処方」の旨を記載・入力する。
※天災地変(大地震や台風等)により薬剤や処方箋を紛失した場合は、診察料、処方箋料とも保険適用とすることができる(災害の都度、厚労省から示される)。
2.処方箋を交付し、調剤薬局で薬剤を受け取った後に紛失した場合
医療機関での処方箋の再発行費用は患者負担となる。また、調剤薬局での薬剤・調剤の費用も患者の負担となる。
カルテや処方箋の備考欄に「薬剤の紛失による処方箋の再交付」の旨を記載・入力する。

(2)調剤薬局で薬剤を受け取る前に、交付した処方箋を紛失した場合

1.前回の診察から処方内容を変更する必要がなく、再度診察を行わず処方箋の再交付のみ行った場合は、処方箋再発行の費用は患者負担となる。この場合の調剤薬局での薬剤・調剤の費用は保険適用となる。
カルテや処方箋の備考欄に「処方箋紛失により再交付」の旨を記載・入力する。
2.前回の診察時から急性疾患や急性増悪などで患者の状態に変化があり、必要があって再度診察を行い処方箋を再交付した場合は、再診料・処方箋料は保険給付の対象となり、調剤薬局での薬剤・調剤の費用も保険適用となる。
カルテに、「処方箋再交付と再診察の必要性」などの状況を記載する。

(3)処方箋の使用期間が過ぎてしまった場合

処方箋の使用期間(原則交付日を含め4日以内)が過ぎてしまい、再交付が必要となった場合も、上記(2)と同様の取扱いとなる。

※「処方箋の使用期間」欄に特に記載がない処方箋の使用期間は4日以内とされているため、長期の旅行等特殊な事情があり4日を超えた処方箋の交付が必要と医師が判断した場合には、使用期間を記載する必要がある。
 なお、患者が処方箋の使用期間や期間延長ができる場合があることを知らない状況があるとして、厚労省から医療機関での患者への声かけや、待合室等における案内掲示、処方箋の文字の配置の工夫などが呼び掛けられている。

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