オンライン資格確認システム「義務化」と診療報酬の見直し(医科・歯科共通)
9月5日、厚労省からの告示がされ、関連の通知、事務連絡が発出された。〔1〕2023年4月からマイナンバーカードによるオンライン資格確認システムの体制整備を原則として義務づける療養担当規則の改定、〔2〕今年4月改定で新設された「電子的保健医療情報活用加算」の9月末での廃止と10月からの診療報酬の見直しについて内容を紹介する。
〔1〕療養担当規則の改定(2023年4月実施)
【第3条第1項及び第2項関係等】
患者からマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求められた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならない。
【第3条第3項関係等】
現在紙レセプトでの請求が認められている保険医療機関については、オンライン資格確認導入の原則義務づけは適用されない。
【第3条第4項関係等】
保険医療機関(紙レセプトでの請求が認められている医療機関を除く)は、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合に対応できるよう、あらかじめ必要な体制を整備しなければならない。
〔2〕電子的保健医療情報活用加算の廃止と医療情報・システム基盤整備体制充実加算の新設
電子的保健医療情報活用加算(初診料・再診料・外来診療料)が9月末で廃止され、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(初診料)が新設された(2022年10月~)。届出は不要だが、施設基準を満たす必要がある。初診時(月1回)、加算1または2のいずれかを算定する。
医療情報・システム基盤整備体制充実加算1 4点 | 施設基準を満たす医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合 |
医療情報・システム基盤整備体制充実加算2 2点 | 施設基準を満たす医療機関を受診した患者に対して初診を行う際にマイナンバーカードによる保険証を利用したオンライン資格確認により情報を取得(他の医療機関からの情報提供を受けた場合を含む)した場合 |
〈留意事項通知より抜粋〉
ア 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合に、医療情報・システム基盤整備体制充実加算1として、月1回に限り4点を算定する。ただし、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合は、医療情報・システム基盤整備体制充実加算2として、月1回に限り2点を算定する。
イ 以下の事項について院内及びホームページ等に掲示し、必要に応じて患者に対して説明する。
(イ) オンライン資格確認を行う体制を有している。
(ロ) 当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行う。
ウ 初診時の標準的な問診票の項目は別紙様式54に定めるとおりであり、患者に対する初診時問診票の項目について、別紙様式54(厚労省ホームページ参照)を参考とする。
〈施設基準〉
(1)電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っている。
(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認(以下「オンライン資格確認」)を行う体制を有している。なお、オンライン資格確認の導入に際しては、医療機関等向けポータルサイトにおいて、運用開始日の登録を行う。
(3)次に掲げる事項について、当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示している。
ア オンライン資格確認を行う体制を有している。
イ 当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療 情報を取得・活用して診療を行う。
〈届出に関する事項〉
医療情報・システム基盤整備体制充実加算の施設基準に係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はない。
〈加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付(その1)より抜粋〉
問 オンライン資格確認等システムを通じて情報の取得を試みた結果、患者の診療情報が存在していなかった場合の算定は、どのようにすればよいか。
答 医療情報・システム基盤整備体制充実加算2(2点)を算定する。
問 患者が診療情報の取得に同意しなかった場合、または患者の個人番号カードが破損等により利用できない場合や利用者証明用電子証明書が失効している場合の算定は、どのようにすればよいか。
答 いずれの場合も、医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(4点)を算定する。
問 施設基準を満たす医療機関の医師による情報通信機器を用いた初診や往診で初診を行う場合は算定できるか。
答 算定できない。
〈「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が別に算定できる点数〉
下記の診療料を算定する場合の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は、包括されず、診療料とは別に初診時に算定できることとされた。
・B001-2 小児科外来診療料
・B001-2-7 外来リハビリテーション診療料
・B001-2-8 外来放射線照射診療料
・B001-2-11 小児かかりつけ診療料
・B001-2-12 外来腫瘍化学療法診療料
(参考)厚労省から示された告示、通知、事務連絡等は下記URLから確認されたい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html