(愛知保険医新聞2021年11月25日号)
10月19日(火)~29日(金)で愛知県内全ての市町村を訪問し、医療・福祉・介護など社会保障の拡充と国や県に意見書の提出を求める愛知自治体キャラバンが今年も開催された。今回は、コロナ禍での開催であったことから1自治体が書面での開催となった。一方、それ以外の自治体では、人数制限や懇談日時の変更、懇談をオンラインに変更するなどあったものの、担当者と直接懇談を行い意見交換することができた。困難な状況の中でも、ほとんどの自治体と懇談できたことは、これまで自治体側と積み上げて来た信頼関係の証しであり、今後に繋がる大きな成果である。
今回のキャラバンを通して、これまで要望してきた施策が着実に進んでいることが確認できた。詳細なまとめはこれから行うことになるが、現在分かっているだけでも、子ども医療費助成制度、精神障害者医療費助成制度、子どものインフルエンザワクチン助成、産婦健診助成などで前進が見られる。
子ども医療費助成制度については18歳年度末までの助成を行っている自治体が通院で11市町村(県内全市町村の20%)、入院では34市町村(同63%)となった。精神障害者医療費助成制度については高浜市が助成対象を一般疾病まで拡大したことで、県内全ての自治体で一般疾病までの助成拡大が実現した。子どものインフルエンザワクチン助成を行っている自治体も16市町村(同30%)に拡大した。これらの要望項目の実現は、長年にわたる自治体キャラバンの継続的な取り組みの成果である。同時に、県の制度自体の改善、底上げが待ったなしとも言える。
コロナ禍にも関わらず政府が進める社会保障費抑制政策で、国民の暮らしが立ち行かなくなる事態が相次ぐなかで、市町村はそれを阻む最後の砦の役割を担っている。愛知自治体キャラバンでは、これまでも住民の声を丁寧に自治体に届けるとともに、自治体担当者の率直な意見を聞き、住民にとってより良い制度の構築を住民と自治体がともに考えることができるよう、取り組みを進めてきた。自治体から寄せられた文書回答・アンケート回答を元に作成する資料は自治体担当者からも「貴重な資料」と喜ばれている。国や県への要望も含めて、今後も住民と自治体が、一緒になって取り組みを進めることができるよう粘り強く取り組みを行っていく。