新型コロナウイルス感染症拡大の緊急事態を理由にした新型インフルエンザ特別措置法「改正」に反対する
2020年3月6日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
厚生労働大臣 加藤勝信 殿
政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正し、法の対象に「新型コロナウイルス感染症」を追加するとしている。
しかし、すでに現行の新型インフルエンザ特措法にもとづく措置を新型コロナ対策にも適用していることが、今国会の審議で明らかになっている。法改正が必要だという政府の立法事由はない。
そしてなによりも、改正法が成立すれば、政府によって私権を制限する「緊急事態宣言」を発令できるようになるが、与野党双方から「私権(人権)制限は、戒厳令を敷くようなものだ」「慎重な運用を」などの声が噴出しているなかで改正を強行することは断じて認められない。緊急事態宣言によって、集会・言論・表現・移動の自由などの基本的人権が必要以上に制約されることが十分懸念される。
また、医薬品の生産・流通への政府による統制や、医療施設の開設・土地収用などの点でも、医療関係者や住民への影響を払拭できない。このような人権制約や医療提供への制約の懸念がある新型インフル特措法「改正」は認めるわけにはいかない。
地域の第一線の医療を担う医師・歯科医師の団体として、私たちは、新型コロナウイルス感染症拡大の緊急事態を理由にした新型インフルエンザ特別措置法「改正」に反対する。
以上
愛知県保険医協会
理事長 荻野高敏