2018年4月6日

国民健康保険-保険料動向のカギは市町村の姿勢に

(愛知保険医新聞2018年4月5日号)

国民健康保険(国保)が4月から、運営主体を市町村から都道府県に変更した新制度に移行した。被保険者証などに県名が記載され、資格取得・喪失は県単位、高額療養費の多数回該当は県単位で通算などの変化がある。しかし、保険証の交付事務や保険料の賦課・徴収、保健事業など、引き続き市町村が担う点などは変更がない。
被保険者にとって最も大きな関心は、保険料(税)がどうなるかにある。
3月の各市町村議会で保険料(税)の改定が進められているが、名古屋市は、1人あたり保険料で、300円近く引き下げるほか、春日井市でも同じく3,000円近く引き下げる動きがある一方で、犬山市や一宮市では約6%の引き上げという動きもある。
また、今回の制度改革の中で、資産割(土地・家屋の固定資産税額から算定)を廃止する自治体がある。それにより均等割(加入者の人数に応じて算定)が上昇する関係にあるため、18歳未満の子のいる世帯で1人目の均等割を二割減免、2人目以降は均等割を半額に(大府市)、就学未満児1人につき、均等割を3割減免(田原市)などと、子どもの保険料(税)の負担軽減を図るところも出ている。これは、自治体キャラバンで要望したことの実現といえるものだ。
自治体によって対応が分かれるのは、国の保険者支援や財政調整機能強化などの名目による財政支援を保険料(税)の抑制に活用しているか、一般会計法定外繰入を継続しているかなどの姿勢に依るところが大きい。
さらに、政府は、決算補填等目的の一般会計法定外繰入を解消・削減すべきとして自治体に解消計画を求めているが、5年(長久手市)、10年(日進市)かけて法定外繰入をなくす方針を打ち出している自治体がある。これらの自治体では大幅な保険料(税)の引き上げが懸念される。しかし、愛知県国民健康保険運営方針では決算補填等目的の一般会計法定外繰入解消については「保険料(税)の急激な変化がないように配慮」を求め、年限も明記しておらず、長久手市や日進市の対応は行き過ぎの感を拭えない。
国保の制度改革では、このほか、レセプト点検や重複・頻回受診対策の強化などの医療費適正化の項目も掲げられており、医療機関にとっても診療や事務への影響を注視する必要がある。

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