健保だより(2017年3月25日号)

75歳以上高齢者の免許更新手続きの変更点

 改正道路交通法が3月12日から施行となった。今回改正で75歳以上高齢者の免許更新時に認知症のおそれがあるとされた場合に診断書提出が義務付けられ、「かかりつけ医」に診断書の交付を求めて受診するケースが増えることが予想されている。高齢者の免許更新手続きに係る主な変更点は以下の通りである。

認知症診断が義務付けられた対象者
(1)運転免許更新時の年齢が75歳以上※で更新手続きのため事前に受ける「認知機能検査」で「認知症のおそれ(第1分類)」があるとされた者。
(2)運転免許更新時の年齢が75歳以上で更新手続きのため事前に受ける「認知機能検査」で「認知症のおそれ(第1分類)」以外の判定を受け免許証の更新を受けた者が、その後「認知機能が低下した時におこしやすい違反行為」をした場合、「臨時認知機能検査」を受けなければならない。その結果「認知症のおそれ(第1分類)」があるとされた者。
(3)改正前に75歳を超えて運転免許の更新を受けている者で「認知機能が低下した時におこしやすい違反行為」をした場合「臨時認知機能検査」を受けなければならない。その結果「認知症のおそれ(第1分類)」があるとされた者。
 (1)(2)(3)いずれの場合も「診断書提出命令」が対象者に送付される。受け取った者は記載された提出期限(おおよそ受け取ってから3カ月以内)までに医師の診断を受け診断書を提出しなければならないことになった。

改正後の75歳以上高齢者の運転免許更新手続きの流れ
 更新時に75歳以上となるものは、事前の高齢者講習受講前の段階で「認知機能検査」を受けなければならない。「認知機能検査」は運転免許証の更新期間が満了する日の6月前(誕生日の5カ月前)から指定の自動車教習所で受けることができる。検査により第1分類「記憶・判断力が低くなっている者(認知症のおそれ)」、第2分類「記憶・判断力が少し低くなっている者(認知機能の低下のおそれ)」、第3分類「記憶・判断力に問題のない者(認知機能の低下のおそれなし)」のいずれかに判定され、結果が記載された「高齢者講習の講習等連絡書」が警察署より送られてくる。「認知症のおそれ(第1分類)」があるとされた場合には「診断書提出命令」が同時に送られてくる。その連絡を受け取って3カ月以内に医師より診断書を受けて提出しなければならない。医師より「認知症」の診断を受けた者は更新運転免許証の交付を受けることができない。
 「認知症のおそれ(第1分類)」に区分された者も、診断を受ける前に定められた高齢者講習を受講し、診断書の提出期日前に手続きを行えば更新した運転免許証が交付される。交付を受けた後に、医師により「認知症」と診断された場合、認知症の程度に係らず提出された診断書に基づいて公安委員会が「免許取消」又は「免許停止」の決定を行う。
 「診断書提出命令」を受けた者が、専門医の診断を受けるために時間を要するなど特別の理由もなく期限までに診断書を提出しない場合も「免許停止」又は「免許取消」となる。
 ※経過措置が設けられており、改正道路交通法による「免許証更新手続」となるのは2017年3月12日以降が更新期間の開始日となる者とされた。3月11日以前が更新期間の開始日となる者は改正前の取り扱いとなる。

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