審査改善を求め要望―回答、そして懇談へ
協会は審査・指導の改善を求めた活動をすすめている。昨年11月には39項目の要望をまとめ、支払機関や東海北陸厚生局等へ提出、文書回答を得た。そして今後、回答をもとに関係者との懇談を行い、要望の実現をめざしていく。昨年末に得た、要望に対する回答から本号では審査についてポイントとなる回答内容を紹介し、協会の取り組みを紹介する。なお、本文中、「支払基金」とあるのは「社会保険診療報酬支払基金愛知支部」、「国保連合会」とあるのは「愛知県国民健康保険団体連合会」のことである。
協会が2011年秋に実施した会員アンケート結果から見える審査に対する強い関心は当面次の4つに集約される。
(1)減点あるいは再審査結果で原審通りとなった時の理由を納得できるまで知りたい
(2)突合・縦覧点検で機械的な審査がなされているのではないか
(3)1年以上も前に診療したレセプトが保険者からの再審査請求で減点される
(4)病名が漏れてしまった請求は必ず復活してもらいたい
減点理由について「詳細な文書連絡に努める」~支払基金
(1)について、要望の趣旨は次のとおり。
ア 減点箇所、理由は記号のみではなく内容も記載し、再審査請求を原審通りとする場合もその理由を文書により明らかにすること
イ 減点理由について医療機関から照会があった場合には懇切丁寧に対応すること
これに対して、支払基金の回答は、「減点事由『A・B・C・D』の記号のほか、必要に応じ査定理由等を文書にて連絡している」が、さらに「査定理由の詳細な文書連絡に努めてまいります」としている。また、「医療機関からの再審査請求について原審どおりと審査決定した場合は、可能な限り、 その理由を文書連絡するように努めていきます」と述べている。その上で、「減点理由に納得いただけない場合や減点理由が不明な場合は、当基金に再審査相談窓口を設けております」から照会をして欲しいとしている。さらに、「減点理由に限らず、医療機関からの照会に対しては、懇切丁寧に説明するよう職員等に周知しておりますが、さらに徹底することといたします」とも回答、納得できない減点などがあったら問い合わせをすれば、積極的に受けてくれる構えを表明している。
国保連合会は短い文章だが、「減点理由については、減点記号・個所等を具体的に記載するように努めております」「照会については、懇切丁寧に対応するように努めております」としている。
協会では、増減点連絡書などの通知文書そのものの改善ができないか、さらに一歩踏み込んで要望をしていきたいと考えている。
保険者の再審査請求は、「早期提出の要請に努めます」~支払基金
(2)について、電子レセプトに対する突合・縦覧点検は、支払基金では昨年3月審査から始まった。国保連合会は、突合点検は未実施だが、2011年11月審査から縦覧点検を開始している。要望の趣旨は、「突合・縦覧点検などコンピュータによる審査強化にあたっては、主治医の裁量権を尊重すること」「突合点検結果連絡書の到着時点で内容が分かるものについては返戻依頼や再審査請求ができるようにすること」とした。
これに対して、支払基金は、「患者の病状・病態などにより、個々の患者に対する治療方法には様々な組み合わせがあることから、これらを踏まえ、審査委員の医学的見地から公正・公平な審査を実施しています」「突合点検結果連絡書の内容から判断されての当該レセプトの返戻依頼や再審査請求は、再審査等請求書の提出により可能です」としている。また、国保連合会は縦覧点検について、「保険ルールに基づいて行っており、医学的判断が必要なものは対象としておりません」としている。
(3)について協会は、「保険者からの再審査請求は保険者への送付から6カ月を超えたものについては原審通りの取扱いとすること」を要望した。これは1985年に厚生省保険局保険課長(当時)から、できるだけ守るよう求める通知が出ているが、守らない保険者が増える傾向にある。これについて支払基金は、あくまで「紳士協約」的なものであり、保険者から申し出を「一律的に申し出を認めないことはできない」としつつ、「早期提出の協力要請に努めております」としている。一方、国保連合会は、「保険医療機関、保険者とも原則6カ月を期限として処理を行っております」と問題がないかのような回答だ。この件では、最近、東京都の協会けんぽが6カ月を越える再審査を行わない方針を示しており、こうした実例をもとに愛知でも改善を求めていく。
(4)については、支払基金、国保連合会共に以前よりも取扱いが厳しくなっている傾向がみられるので、改善を求めることにしている。
※なお、審査について具体的な要望があったら協会社保学術部担当(電話052・832・1347)までご連絡ください。今後開く懇談の際に反映していきます。