2025年7月7日

社会保障費抑制から充実させる政治へ転換を―参議院選挙

(愛知保険医新聞2025年6月25日号)

政府は6月23日の閣議で、参議院選挙の投開票を7月20日とすることを決定した。
昨年の総選挙において与党は政治と金の問題への反省も示さず、従来の健康保険証の存続や社会保障抑制からの転換を求める国民の声に耳を傾けなかったため、国民が与党を過半数割れに追い込む結果となった。
総選挙後も、与党・政府は12月2日に従来の健康保険証の新規発行停止、年明けには高額療養費の上限額の引き上げなど、社会保障改悪に突き進む一方、新年度予算では防衛費が物価上昇率を大きく上回る増額となった。
このような中で実施される参議院選挙での医療に関する大きな争点の一つが、OTC類似薬の保険外しだ。自民党・公明党・日本維新の会は、6月の三党合意でOTC類似薬の保険給付のあり方を見直し、早期に実現可能なものについて来年度から実行するとしており、国民民主党も同様に見直すとしている。
これに対し、患者負担が大幅に増える慢性疾患患者や子ども医療費助成を利用する世帯、受診控えにより重篤化が起こりかねないことを危惧する医療関係者から反対の声が上がっている。保険医協会は、国民皆保険制度を崩壊させるOTC類似薬の保険外しは到底容認できないとする抗議声明を首相宛に送付している。
医療機関を巡っては、度重なる診療報酬のマイナス改定、物価や光熱水費の高騰・人件費上昇など、医院経営を取り巻く環境は厳しく、保険医協会にも「従業員の給料を上げることができない」「閉院も視野に入っている」との声が寄せられている。医療機関に対する早急な経済的支援と、様々な要件を課したこれまでのような加算でなく、期中改定により初再診料を大幅に引き上げ、全体の底上げを図ることが求められている。
医療界の声に押され、政府は骨太の方針に、社会保障関係費の伸びについて、「高齢化による増加分」だけでなく、「経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」とした。しかし、これまでの歳出改革努力は継続するとも記述しており、社会保障関係費の抑制を続ける方針に変更はない。
今回の参議院選挙は、従来の社会保障抑制策を継続するか、抜本的に転換し充実するのかが問われる選挙となる。保団連は社会保障充実の予算は消費税に頼らなくても、法人税や所得税の見直しなどで確保できるとしている。参議院選挙が歴史の転換点となるよう、投票に足を運ぼう。

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