中医協は1月12日、厚労省からの諮問を受けるとともに、1月19日までの意見(パブコメ)募集を行った。また19日には公聴会を開催し、医師・歯科医師などの医療関係者、健康保険組合や自治体、患者団体などから選ばれた10人が意見を述べた。
急性期と地域包括ケア、療養病床のケアミックス病院の医師からは、外来患者数や病床稼働率はコロナ禍以前には戻っておらず、医療DXもかなりの負担を伴うことが訴えられるとともに、議論となっている高齢者の救急医療の受け入れは13対1看護配置が基調となる地域包括ケア病棟保有病院では不可能と述べた。
また診療所の医師からは、医療機関受診の起点は患者であり、今の皆保険制度の優れた仕組みが極めて安価での医療機関受診を担保しており、「かかりつけ」医制度の創設なくとも機能は発揮されていると述べた。また、生活習慣病管理料はあくまでも対象疾患の専門的管理を評価するものであり、特定疾患療養管理料と疾患が同じという理由で複数の点数の存在を問題視する必要はないと強調した。
その他、健保組合や労働組合などの立場からは、確実に賃上げできる仕組みとシステム、連携の強化、医療DXの推進などを求める意見とともに、医療費の適正化と効率的な医療、リフィル処方や長期医薬品の選定療養に期待する意見も出された。
以下に、パブコメ募集に協会から提出した意見(医科)を抜粋して紹介する。
▽6回連続の実質マイナス改定を見直して診療報酬を引き上げてください。
▽初診料、再診料、入院基本料の引き上げを。
基本診療料には、医師の技術料だけでなく医療従事者の人件費や、基本的な診療に必要な物品などの経費も含まれており、引き上げるべき。
▽マイナ保険証による資格確認、オンライン請求の義務化など強引な医療DXの推進に反対。
マイナ保険証の利用率はわずか4%、健康保険証の廃止は大混乱を招く。オンライン請求も含め、診療報酬での評価の検討は立ち止まるべき。
▽オンライン診療の安易な拡大を行わないこと。
オンライン診療に適さない治療・投薬など問題が指摘されている。検査や処置・手術など医師が必要な医療を提供できる対面診療が基本である。
▽連携に係る要件や情報提供に係る点数の評価をしてほしい。
医療と介護との協力、連携などに見合う点数評価を行ってほしい。また、診療情報提供料(Ⅰ)は個別の対象を細かく規定せず、必要な患者の診療情報を文書で提供した場合は、診療情報提供料を算定できるようにしてほしい。
▽入院医療の強引な見直しは行わないこと。
▽高血圧や糖尿病などの患者について、特定疾患療養管理料の算定対象から除くことには反対。
患者の状態などによって治療や受診の頻度も一律ではない。医学管理や検査、注射、病理診断の費用を包括する不合理な包括点数を拡大することとなる。
▽医師の診察を軽視するリフィル処方及び長期処方を推進することに反対。
リフィル処方、長期処方は医師の管理・指導が弱まり、急性増悪や重大疾患への早期対応が難しくなるなど、患者の健康管理上、極めて問題がある。今までも医師が処方期間を判断し対応しており、特定疾患処方管理加算や地域包括診療料等の見直しは必要ない。
▽在宅医療点数は要件の見直しでなく、複雑な保険診療の算定ルールの簡素化を。
在宅医療は複雑さを増しており、わかりやすい点数設定と算定要件の簡素化が必要。
▽アウトカム評価を強引に推進することはやめてください。データ提出加算の届出を要件とする入院料の拡大、リハビリに係るアウトカム評価を強引に推進することはやめてください。
▽後発医薬品の安定供給は国の責任で行うこと。
▽長期収載医薬品と後発医薬品の差額の一部を患者負担とすることに反対。
後発医薬品の供給不足の現状からみても、患者負担を増やして後発医薬品に誘導するのは最悪の施策。
▽パブコメへの意見を十分反映させること。
2024年2月8日