熱性けいれんだから大丈夫?

愛知保険医新聞2024年1月25日号掲載

千種区 根来 民子

熱性けいれん(以下FC)は日本の子どもの7%が経験し、3分の2の子どもは一回のみで、繰り返さないとされています。小児科医でなくても、医師なら、救急外来等で遭遇したことがあるのではないでしょうか? 今回は初めてのFCに遭遇したお母さんの気持ちを紹介したいと思います。

症例1:大学病院の救外に救急車で、けいれんを起こした子どもが来院するからと、小児科の当直医がコールされました。到着時けいれんは止まっていました。同乗してきた母親はパジャマにコートを羽織っただけで、よく見ると小児科の中堅看護師でした。「FC見慣れているでしょう?」と言ったら、「まさか我が子がひきつけるとは。5分なんて待てない」と。

症例2:「解熱剤(坐剤)を入れても熱が下がらない。前回FCを起こしたので心配」と救外を受診。坐剤はオムツの中に転がっていました。前回受診時に、「FCだから大丈夫。発熱に注意するように」と解熱剤を処方されたそうです。義母からも、父もFCが一回あったけど、「その後何ともないから大丈夫」と言われたそうです。しかしFCについて何も知らなかった母は一人で「怖くて、怖くてたまらなかった」と。「もし結婚前にFCのことを知っていたら、結婚しなかった」とも。

お母さんがFCについて知っていても、知らなくても、初回のFCに遭遇した時には、子どもだけでなく、お母さんにも、もう少し優しく接してあげてください。
災いで始まった2024年ですが、子ども達にも、お母さん達にも平和な世の中であってほしいと祈念しています。

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