(愛知保険医新聞2024年1月25日号)
通常国会が1月26日に召集され、予算や震災対策、政治と金の問題などの審議がスタートする。
昨年末に閣議決定した政府予算案を見ると、社会保障関係費は、診療報酬の引き下げ(-0.12%)など医療関係支出の削減で、「自然増」を1,400億円も削減するものとなっている。介護報酬についても+1.59%と現場の人手不足解消には程遠い内容で、年金は物価上昇に及ばない改定率になるなど、国民の暮らしを顧みない内容と言わざるを得ない。
一方、防衛費は過去最大を更新し、7兆9500億円を計上している。その内容は長射程ミサイルの開発や量産、自衛隊を米軍指揮下に組み込むための「統合作戦司令部」新設、相手国からの反撃に備える自衛隊基地強靱化など、「敵基地攻撃」体制の構築に向けた項目が目白押しだ。
軍事よりも社会保障の拡充こそ求められており、予算の抜本的な組み替えが必要だ。
今国会では、能登半島地震への対応も焦眉の課題となる。被災者の住まいの確保など直面する困難に対応すると同時に、災害関連死を出させず、復興のために大胆な予算措置を講じることも求めたい。
昨年末から大きな問題となり、逮捕者も出ている自民党の裏金問題も大きな焦点だ。今回の裏金問題の根本には制度自体の持つ構造的な問題がある。企業・団体献金については、政治資金規正法で禁止されているが、実際には政治資金パーティーがその抜け穴になっている。政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止こそが求められる。
協会・保団連がトラブル事例の発信や署名に取り組み、大きく社会問題化したマイナ保険証の問題も、今国会での重要な課題だ。政府は昨年末に2024年12月2日以降、現行の保険証発行を行わない方針を示した。しかし、マイナ保険証に関わるトラブルは収束の目途がたっておらず、このまま現行の健康保険証廃止を強行すれば、国民や医療機関に多大な混乱をもたらすことは間違いない。保険証廃止反対の世論をさらに高め、圧力をかけることが重要だ。この取り組みを通して、協会・保団連の情報発信が注目されることは、この問題に限らず、社会保障抑制策の転換など、私たちの要求を国民に知らせる絶好の機会ともなる。
協会・保団連では、「現行の健康保険証を残してください」請願署名に引き続き取り組んでおり、多くの会員の協力をお願いしたい。