疑義解釈資料(その8)、新型コロナ罹患後症状の労災補償
点数改定に係る「疑義解釈資料(その8)」(5月13日付)と、新型コロナ感染症による罹患後症状の労災補償における取扱い(5月12日付)が厚労省から発出されたので、一部を紹介する。
疑義解釈資料(その8)
サーベイランス強化加算(外来感染対策向上加算、感染対策向上加算)
「院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加していること」について、以下の1~5が示された。
Q1.「疑義解釈(その1)」(3月31日事務連絡)の問20における「JANISの検査部門と同等のサーベイランス」とは、具体的にはどのようなものを指すのか。
A1.例えば、細菌検査により各種検体から検出される主要な細菌の分離頻度、その抗菌薬感受性や抗菌薬の使用状況を継続的に収集・解析し、医療機関における主要菌種・主要な薬剤耐性菌の分離状況や抗菌薬使用量を明らかにするための薬剤耐性に関連する調査等を含むものを指す。
Q2.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第 114 号)に基づく感染症発生動向調査は該当するか。
A2.該当しない。
Q3.地域において感染症等に係る情報交換を行うことを目的としたネットワークは該当するか。
A3.参加している各医療機関において細菌の分離頻度、その抗菌薬感受性や抗菌薬の使用状況等に係る調査が実施されておらず、単に感染症等に係る情報交換を行っている場合は、該当しない。
Q4.参加医療機関において実施される全ての細菌検査の各種検体ではなく、特定の臓器や部位等の感染症に限定して、細菌の分離頻度、その抗菌薬感受性や抗菌薬の使用状況等に係る調査が実施されているものは該当するか。
A4.特定の臓器や部位等の感染症に限定して調査が実施されている場合は、該当しない。
Q5.サーベイランス強化加算について、新たにJANIS又はJ-SIPHEに参加する場合、どの時点から当該要件を満たすものとしてよいか。
A5.医療機関が新たにJANIS又はJ-SIPHEに参加する場合、2023年3月31日までの間に限り、JANIS又はJ-SIPHEの参加申込書を自治体の窓口に提出した時点から当該要件を満たす。この場合、届出は次月から可能で、届出を行う際には、当該参加申込書の写しを添付する。なお、参加医療機関から脱退した場合は、速やかにサーベイランス強化加算の届出を取り下げる。
透析時運動指導等加算
Q6.J038人工腎臓に新設された透析時運動指導等加算について、「透析患者の運動指導に係る研修を受講した医師、理学療法士、作業療法士又は医師に具体的指示を受けた当該研修を受講した看護師」とあるが、「透析患者の運動指導に係る研修」には、具体的にはどのようなものがあるか。
A6.現時点では、日本腎臓リハビリテーション学会が開催する「腎臓リハビリテーションに関する研修」が該当する。
新型コロナ感染症による罹患後症状の労災補償における取扱い
Q7.業務により新型コロナウイルスに感染した患者が、感染性が消失後に継続して、呼吸器や循環器、神経、精神等に係る症状がみられる場合は、労災保険の給付の対象になるのか。
A7.医師により療養が必要と認められる以下のア~ウの場合については、罹患後症状として、労災保険の給付の対象になる。
ア 診療の手引き(*)に記載されている症状に対する療養(感染後ある程度期間を経過してから出現した症状も含む)
イ 上記アの症状以外で本感染症により新たに発症した傷病(精神障害も含む)に対する療養
ウ 本感染症の合併症と認められる傷病に対する療養
*「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊罹患後症状のマネジメント(第1版)」