南生協病院 1年目研修医 佐藤博貴・片山寛人
僕たちは2006年8月、広島の原水禁世界大会に参加しました。その体験をとおして学んだことを報告します。
大会参加前のぼくたち
佐藤は、学生時代から平和の取り組み(沖縄米軍基地問題の実態の見学など)に参加してきました。しかし、実生活の中では平和意識を持ち続けることがなかなか出来ない現状でした。
片山は“広島ならお好み焼きが食べれるなあ。旅行に行けるなんてラッキー!”という軽いノリでの参加決意でした。
そんなぼくたちでしたが、医局会でカンパ協力の御願い、カレーライス販売、ラムネ売り、病棟では患者さんへの訴えをする中で、病院の代表としての自覚が少しずつ芽生えてきました。
当日のぼくたち
広島の原水禁世界大会では、患者さんや職員が折った鶴3万羽を使ったタペストリーを持ってのアピールや、それぞれが選んだ分科会に参加したりしました。佐藤は、“平和の国際ルールと日本国憲法九条”分科会へ。
そこでは、自衛目的の侵略も解釈によって正当化されること、教育基本法改悪が進んでいること、その半面、平和の九条は世界的に注目されていることなどを学びました。
片山は、“軍事費と暮らし”分科会へ。
社会保障費は削減されている中で防衛費は国家予算の6%(4兆8千億円)をも占めること。これらのうちの少しでも回すことができれば生活困窮者、医療難民を救うことができるのに、ということを学びました。
その後のぼくたち
学んできたことを、参加者みんなで作成した“原水禁DVD”を披露しながら医局会で報告しました。
佐藤は、大会参加を通じて、海外からも高い評価を受けている“憲法九条の良さ”を改めて実感するとともに、戦争の悲惨さを知らなければ平和の重要さに気付けない、ということを強く心に刻みました。
片山は、思った以上に若者や子供がたくさん参加しており、原爆や平和への関心が確実に次世代に引き継がれているんだなあ、と感じるとともに、戦争や国際情勢についてもっと知りたくなりました。いいかげんな気持ちで参加してしまって反省(でもお好み焼きはおいしかった)という思いも感じました。
医療従事者と平和活動
戦争状態は、重症はあきらめ、軽症中心で治療せざるえなくなってしまいます。そして、「健康」というあたりまえの事がより困難になります。今回のような体験は、医療だけでなく、社会の様々な問題に対して意識を向けるよい機会だと思います。医療と社会を切り離して考える事はナンセンスです。そして、ぼくたち医療人が考えなければならない事は、“平和を守るために必要な事は?”と、学習や体験を通して学び、伝えていく事だと思います。
これからのぼくたち
まず学ぶことが大事。しかし、押付けでなく、相手を否定せず意見交換をすべきです。その中で、新しい考えが生まれるはず。違う意見を受け入れずに平和を語るのは本末転倒であると思います。今後、いろんな意見を交換する機会をつくれたらいいな、と思っています。