2013年9月6日

「持剣者死於剣」ということわざ

春日井市 李 節
私は10年前まで日本国憲法について無関心だった。ところが、当時アメリカ主導のイラク戦争に憲法九条の制約で日本から戦闘兵員を派遣できなかったことが強く心に残り、改めて日本国憲法に目を通し、その素晴らしさに感銘を受けた。憲法制定から60年以上経つが、時代遅れどころか、むしろその先駆けと確信した。政府の暴走を抑止し、国民の権利を守る。これぞ憲法の神髄。その内容は日本国民にとっての理想であり、目標である。憲法の実践が無理だと政府が言うなら、憲法を変えるのではなく、政府を変えるべきである。
「持剣者死於剣」という古代中国のことわざがある。武器を持つ者はその武器によって滅びるという意味だ。軍を持たない、戦争放棄を宣言することがどれくらい誇らしいことか。戦場で犠牲にしてもいい命など一つもない。日本は第二次世界大戦から十分教訓を得ているはず。一握りの権力者の権欲、利欲に国民が振り回され、アジア諸国の人たちのみならず、自国民も犠牲者となった。
紛争は武力によって解決するのでなく、政治によって解決すべきだ。 戦争では軍人よりも一般市民の死亡数が圧倒的に多い。国民を守るため、テロと戦うためというなら、軍隊ではなく、警察やSAT(警察特殊部隊)がしっかり機能すればいい。九条のお陰で、日本は60年以上平和に過ごせている。その間、日本の科学技術は目覚ましく進歩し、世界や人類に貢献し、感謝されてきた。昨年、iPS細胞で山中教授がノーベル賞を受賞した折に、政府は300億円の研究費を出した。多額ではあるが、防衛費と比べるとどうだろう。ミサイル防衛システムが1兆円の予算。イージス艦は1艘1,200億円。このハイテク軍艦は、遠方から飛んでくるミサイルをいち早く発見できるそうだが、数年前、目の前の漁船を見落とし、尊い命を沈めてしまった。もし1,200億円があれば、世界のどれくらいの命が救えるのか、ぜひ考えてもらいたい。例えば、隣国や医療事情が整っていない国から高度先進医療を受けに来る患者を無料にするなどの発想はないのか。そうなれば、日本は攻撃される対象どころか、愛され、頼れる国になる。戦争を回避できると考えれば安上がりではないだろうか? それこそ科学の力で国と世界が救われる。
軍隊のない日本でいてほしい。そして日本が他の国の見本になって、軍隊が地球上から消えればどんなにすばらしいことか、それが私の願いである。

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