2022年11月2日

オンライン資格確認「義務化」撤回を-杉藤税経部長インタビュー②                 「医療機関に負担を押しつけるな」

 保険医協会は、オンライン資格確認システム導入「義務化」撤回を求め運動を進めています。その運動の先頭に立って奮闘している杉藤庄平税経部長に聞きました。(全3回)

■先生はオンライン資格確認を活用できていますか? また、導入時のベンダーの対応、マイナ保険証での受診など問題はありませんでしたか?

 当院ではすでにオンライン資格確認のシステムを導入しています。予約が入っている患者さんに関しては、前日に一括で資格確認をしており、これは便利です。しかし、マイナンバーカードで受診された患者さんはまだ一人もいませんし、マイナンバーカードでの資格確認は必要性を感じません。
 システムの導入には9カ月かかり、レセコン業者さんが8回も来て、やっと繋がりましたが、その後、以前できていたオンライン請求などができなくるなど、トラブルが続出しました。業者さんに電話しても、忙しくてなかなか対応してもらえませんでした。

■オンライン資格確認を行うにはどのような体制を整備しなければならないのですか?

 顔認証付きカードリーダー、資格確認端末(パソコン)、オンライン請求に使用できる回線、VPN対応ルーター等ですが、レセコンや電子カルテと連動するためには、それらのアプリケーションに組み込むパッケージソフトなどの改修が必要になります。これらはすべてベンダーが用意してくれます。

■国はシステム導入を加速するために初期費用の補助金を用意しています。2023年3月末までにシステム導入が完了していることを条件にしていますが、先生はどのようにお考えですか?

 現時点で診療所のシステム導入が20%前後であることを考えると、2023年3月末までに、導入が義務づけられたすべての医療機関の導入は不可能だと思います。
 当院では従来からオンライン請求をしていたので、新たに回線を引いたり、プロバイダと契約するなどの費用はかかりませんでした。初期の導入費用も補助金でまかなわれたので問題はありませんでしたが、システム等の改修を含め高額な見積を提示された先生の話も聞きます。補助金の締切を気にして慌てて業者と契約をしないように慎重に対応した方がいいと思います。またシステム導入後すぐに閉院した場合(※)、補助金の返還を求められることもあります。
 無理やり導入させるための補助金は問題です。システム導入は医療機関の任意とし、補助金は導入を進める医療機関を支援することを目的とすべきです。

(※)返金不要なケースとして「廃業(閉院)」が追加されました(10/24厚労省通知)。廃業は返金対象から除外されました。

■システム導入「義務化」は、医療機関に一方的な負担を押しつけます。先生はどのようにお考えですか?

 医療機関に回線を引いていない先生方にとっては、それらがすべて持ち出しになります。またシステム導入後の保守料や5〜6年後の資格確認端末やカードリーダーの買い換え、セキュリティ対策の費用は補償されていません。健康保険証の目視確認で特段大きな支障がないのに、国策のために医療機関に負担を強いるのは問題です。
 今後マイナンバーカードで受診される患者さんが増えてくるとトラブルが続出すると思います。特に患者さんがマイナンバーカードを取得して5年経つと電子証明書の有効期限が切れますし、10年経つとマイナンバーカード自身も更新しないと失効してしまいます。それを知らずにマイナンバーカードで受診し、無保険扱いで10割預かりにすると怒る患者さんもでてくると思います。                                                   

(つづく)

(愛知保険医新聞2022年10月15号掲載)

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