個別改定項目が提示 ―医療のあり方を変える内容など多岐にわたる
1月26日の中医協には、改定点数が入っていない個別改定項目が提示された。公聴会の開催とパブコメの締切からわずか5日後の提案であり、その後の中医協ではパブコメや公聴会での意見は十分議論されておらず、ほぼ提案通り了承された。
初診料にオンライン診療の点数が設けられる
個別改定項目から新設点数を中心に紹介すると、診療所の外来診療時の感染予防対策に係る体制を評価した「外来感染対策向上加算」(月1回)が設けられる。初診料や再診料、小児科外来診療料等の算定時の加算点数であるが、院内感染管理者や業務指針等の整備や感染予防策等の手順書作成、発熱外来の体制とホームページでの公開などの施設基準が設けられ、届出が必要となる。
かかりつけ医機能の評価では、機能強化加算の要件について、地域包括診療加算2の算定患者数、または在宅患者訪問診療料(Ⅱ)と往診料の算定患者合計数の実績が要件として導入される。また、地域包括診療加算、地域包括診療料の対象疾患に、慢性心不全と慢性腎臓病が追加される。
オンライン診療については、従来のオンライン診療料が廃止され、初診料、再診料等のそれぞれに情報通信機器を用いた場合の点数が設けられる。点数は、現行初診料の288点とコロナ特例の電話・オンライン診療の214点の中間程度に引き上げられる予定だ。医学管理については、検査料等が包括されている地域包括診療料や生活習慣病管理料等は、オンライン評価の対象から除かれるとともに、ウイルス疾患指導料や皮膚科特定疾患指導料、療養・就労両立支援指導料などの医学管理が対象に追加される。さらに在宅時医学総合管理料等にも、対面診療とオンライン診療を組み合わせて実施した場合の点数が設けられる。
また初・再診料等に、オンライン資格確認システムにより患者の薬剤や特定健診の情報を取得し診療等を行った場合に算定する「電子的保険医療情報活用加算」(月1回)も設けられる。
医学管理では、生活習慣病管理料について投薬の費用が包括対象から除外され別に算定することとなり、点数も見直しがされる。また、アプリなどプログラム医療機器等の使用による医学管理を行った場合に算定する「プログラム医療機器等医学管理加算」の節が新たに設けられる。
在宅医療の関連では、外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が連携して指導等を行った場合に算定できる「外来在宅共同指導料」が設けられる。在宅時医学総合診療料等で在宅療養支援診療所以外の診療所で算定する継続診療加算について、「在宅療養移行加算」に名称が変更され、地域の当番医制等に加入し、市町村・医師会と連携して必要な体制を確保した場合に算定する点数となる。
医師の診療を軽視するリフィル処方の仕組みも導入
投薬では、処方箋の様式が変更され一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方の仕組みが設けられる。使用回数上限は3回とされ、1回あたりの投薬期間や総投薬期間は医師の個別的判断となる。医師の治療方針や投薬に対する裁量が問われることになりそうだ。また、湿布薬の処方枚数上限(現行一処方70枚)の引き下げ、後発医薬品使用体制加算の調剤数量割合の引き上げと点数の見直しも行われる。
リハビリテーションでは、算定日数上限を超えて行う場合に月1回以上のFIM評価測定の要件化、精神科専門療法では、孤独・孤立による影響等での精神障害に対して、かかりつけ医と精神科又は心療内科の医師が連携した場合に算定する「こころの連携指導料」(Ⅰ)(Ⅱ)が新たに設けられる。また通院・在宅精神療法に、精神保健指定医による点数が設けられる。
処置では、耳鼻咽喉科処置に6歳未満の乳幼児に対する「耳鼻咽喉科乳幼児加算」や「耳鼻咽喉科小児抗菌薬使用支援加算」の新設などが盛り込まれている他、不妊治療の保険適用に関連して、一般不妊治療や生殖補助医療に対する管理料や技術料の点数、男性不妊治療に係る検査等の点数などが新設される。
外来や在宅の点数にデータ提出に係る点数も新設される。データ提出が要件化されている入院料とは異なり各点数の算定要件とはなっていないが、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料等、疾患別リハビリテーション料に点数が設けられる。
さらに、病院の紹介状なし受診時定額負担の対象範囲や保険給付範囲、負担額の見直し、入院料のデータ提出加算の対象範囲の拡大、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しと、施設基準における該当患者割合の見直し、地域包括ケア病棟入院料や回復期リハビリテーション病棟入院料の評価・要件の見直しなど、入院点数にかかわる改定も多岐にわたる内容となっている。
今後は中医協で答申があり、具体的な点数が入った告示案が示される。
(つづく)