カルテ記載の留意点(3)歯周治療の算定要件にあるカルテ記載
前回は、歯科疾患管理料など医学管理の算定で求められるカルテ記載の留意点を確認した。今回は、歯周病検査、P重防、SPTについて確認する。
歯周病検査のカルテ記載では、「歯周病検査結果の記載または検査結果の分かる記録を添付すること」となっている。歯周病検査の結果が、歯周病の診断・治療や各点数算定の根拠となるため、検査結果の記載には注意が必要である。主な歯周病検査の対象、検査項目については、表1を参照していただきたい。
歯周病検査の実施時期についても気をつけたい。歯周疾患の急性症状時に口腔内消炎手術(切開排膿など)を行った同日に、歯周病検査を実施しても算定ができない。さらに、切開などの後に歯周病検査を実施する場合は、医学的に歯周病検査が可能と判断できるまで必要な期間を空けてから検査する。歯周病検査の実施時期は、厚労省が毎年公開している「個別指導指摘事項」でも「誤って算定している」、「適切な期間を設けた上で実施すること」などと指摘されている。
歯周病検査の例外的取り扱い
やむを得ず患者の状態等により歯周ポケット測定等が困難な場合は検査を行わず歯周治療に入ることができる。ただし、在宅患者または、歯科診療特別対応加算か初診時歯科診療導入加算を算定している患者に限定されている。カルテには「患者及び歯周組織の状態」を記載する(表2)。歯周病検査の点数を算定しないが、カルテ記載が必要となるため、記載漏れのないようにしたい。
P重防とSPT
歯周病重症化予防治療(P重防)と、歯周病安定期治療(SPT)は、それぞれ管理計画が必要となる。
算定開始にあたっては、P重防またはSPT開始の際の歯周病検査結果の要点や治療方針など管理計画書を作成し、文書で患者または家族に提供し、この文書をカルテに添付する。
「個別指導指摘事項」では、P重防やSPTの管理計画書について、「文書を提供していないにもかかわらず誤って算定している」、「管理計画書の内容が画一的」などの指摘がある。
また、この管理計画書の様式は、歯科疾患管理料の計画書の様式を使用できる。ただし、様式の歯科疾患管理計画書という文書タイトルは変更が必要となる。細かい点だが、訂正していないと個別指導で指摘されるため、注意が必要である。
カルテ記載を充実させるために
3回にわたって、カルテ記載の留意点を確認してきた。紹介した項目の他にも多くの項目でカルテ記載要件がある。
記載要件では、実際の処置行為や検査結果、医学的な判断や必要性、根拠などの記載が求められるため「これを書けば問題ない」といった基準はない。
ここで参考にしていただきたいのは、全国保険医団体連合会(保団連)が発行する「カルテ記載を中心とした指導対策テキスト」である。このテキストでは実際のカルテ記載例を示して、記載内容で押さえるポイントや、さらに充実させるアドバイスが盛り込まれている。テキストには今回の連載で紹介したような、カルテ記載や添付が必要な点数と、その記載項目の一覧を掲載している。また、審査で行われている縦覧・突合点検の留意事項や、算定日情報をもとにした審査例などもある。これらを活用して、カルテ記載を充実させ、日常診療の一助としていただきたい。
(おわり)
※「カルテ記載を中心とした指導対策テキスト」は、来年2月に改訂版を発行予定です。会員の先生方には、無料で1冊送付します。