カルテ記載の留意点(2) 医学管理の算定要件にあるカルテ記載
前回は、カルテの性格とその取扱いについて確認した。今回は、歯科疾患管理料など医学管理のカルテ記載について確認する。
診療報酬には、必要事項をカルテに記載することが算定要件になっている点数がある。特に、医学管理料では、指導内容や治療計画の内容を、カルテに記載することが算定要件となっていることが多い。記載すべき項目は点数ごとに定められているため、必要事項を把握しておきたい。レセプトでは、カルテの記載内容までは分からないが、指導の場では確認されるため、日常的なカルテの点検に加え、毎月の請求の際にも十分に確認する必要がある。
歯科疾患管理料
歯科疾患管理料(歯管)は、患者などの同意を得た上で管理計画を作成し、その内容について説明した場合に算定する。必要な管理計画の内容は表1のとおり。初回の管理計画の内容については、表1にある内容をカルテへ記載しなくてはならず、記載漏れがないように留意したい。
厚労省が毎年公開している『個別指導指摘事項』では、「患者の疾患と関連のある生活習慣の状況及び患者の基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況等)」、「口腔の状況(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)」「治療方針の概要等」の記載が不十分な例があると指摘している。なお、管理計画書を作成し、患者へ提供した場合は、文書提供加算が算定できる。その際は、文書の写しをカルテに添付する。この管理計画書の内容は、表1にまとめた。
周術期等口腔機能管理料
周術期等口腔機能管理料は、がん等に係る手術などにおける一連の治療において、患者の口腔機能の管理を行った場合に算定する。開始に当たっては、管理計画の策定から行う場合と、実際の管理から行う場合の2通りがある。
手術などを実施する保険医療機関から依頼を受けた際には、管理計画の策定について確認する。自院で管理計画を策定する場合は、周術期等口腔機能管理計画策定料(周計)を算定する。管理計画書の内容は表1のとおり。すでに依頼元が策定している場合は、管理計画書の提供を受けることが必要である。いずれの場合も管理計画書の内容はカルテに記載、またはその写しを添付する。
管理計画に基づいて周術期口腔機能管理を行い、管理内容に係る情報を、管理報告書で患者などに提供した場合、周術期等口腔機能管理料Ⅰ(周Ⅰ)または、周術期等口腔機能管理料Ⅲ(周Ⅲ)を算定することができる。管理報告書の内容は表1のとおり。管理報告書はカルテに記載、またはその写しを添付することとなっている。周Ⅰと周Ⅲの対象や算定時期は異なるため注意が必要である。
義管と歯リハ1(有床義歯の場合)
新製有床義歯管理料(義管)と歯科口腔リハビリテーション料1(歯リハ1)「有床義歯の場合」は、表2のとおり目的・定義が定められている。これらは指導の場で確認されることがある。提供文書の内容やカルテ記載は表1のとおり。『個別指導指摘事項』では、「記載の不十分な例が認められたので個々の症例に応じて適切に記載すること」と指摘されており、画一的な記載ではないかがポイントである。
目的・要件の再確認を
医学管理料は、患者指導や歯科医学的管理を評価する診療報酬であり、各点数の目的・対象者・算定の要件を、十分に理解した上で算定することになる。また、診療報酬改定の際に、管理内容などが変更される場合があるため、注意が必要である。