2019年度個別指導における主な指摘事項(医科)(2)

 9月5日更新の(1)に続き、昨年度に愛知県で実施された個別指導において指摘された主な事項を抜粋して掲載する。

【在宅医療】
・往診料について、往診の必要性、患者等からの聴取事項及び診療所見の診療録記載が極めて乏しい。
・定期的ないし計画的に患家に赴いて診療をした場合に往診料を算定している。
・患者又は家族等の患者の看護等に当たる者が、医療機関に対し電話等で直接往診を求め、医師が往診の必要性を認めた場合であることが明らかでない場合に往診料を算定している。
・在宅患者訪問診療料について、①患者又は家族等の署名付きの同意書を作成していない、②同意書の日付が不適切、③訪問診療計画、診療内容の要件に関する診療録記載が不十分、④診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所について診療録に記載がない。
・在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料について、①在宅療養計画及び説明の要点等に関する診療録記載が不十分、②定期的な訪問及び総合的な医学管理を行っていない患者に算定している。
・在宅患者訪問看護・指導料について、医師が看護師等に対して行った指示内容に関する診療録記載が不十分。
・在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料について、①理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容と、②理学療法士等が医師の指示に基づき行った指導内容の診療録記載が不十分。
・訪問看護指示料について、①訪問看護指示書に記載された内容が画一的である、②交付した訪問看護指示書等の写しを診療録に添付していない。
・在宅自己注射指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅人工呼吸指導管理料、在宅自己導尿指導管理料、在宅寝たきり患者処置指導管理料などについて、当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点に関する診療録記載が不十分。
・血糖自己測定器加算について、患者に在宅で血糖の自己測定をさせた結果が不明。

【検査・画像診断】
・検査は、個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、必要最小限の回数で実施する。
・画一的、傾向的な検査、セットで指示されている検査は改める。
・検査の必要性、結果及び結果の評価に関する診療録記載が不十分。
・腫瘍マーカー検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる患者以外の患者に対して実施している。
・呼吸心拍監視について、①観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点に関する診療録記載が不十分、②重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者、またはそのおそれのある患者以外の患者に対して算定している。
・経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行っていない及び行う必要のない患者又はその他の要件にも該当しない患者に対して算定している。
・他の医療機関で撮影したフィルム等への診断所見の診療録記載がない。
・検査、画像診断は個々の症状・所見に応じ必要な項目を選択し、段階を踏んだ実施に留意する。
・検査、画像診断について所見の診療録記載が不十分。

【投薬・注射・薬剤料等】
・薬剤の投与について、①ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が診療録に記載されていない、②診療録の内容と処方箋の内容が異なる。
・同一の薬剤の注射(投薬)は、みだりに反復せず、症状の経過に応じて内容を変更する等の考慮をする。
・薬剤の投与に当たっては、適応症、承認事項を遵守し、患者の症状・経過等を考慮し必要量を投与する。
・注射は、経口投与をすることができない、経口投与による治療の効果を期待できない、特に迅速な治療を要する、その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難である等、使用の必要性を考慮した上で行う。

【リハビリテーション】(以下、リハ)
・疾患別リハについて、①従事者1人1日当たりの実施単位数を適切に管理していない、②実施単位が24単位を超えている。
・「別紙様式21」から「別紙様式21の5」を参考にしたリハ実施計画書を作成する。
・リハ実施計画書について、リハ開始時と開始後3カ月ごと、新たに発症した疾患に対するリハを実施の際、適切にリハ実施計画書が作成されていない。
・手術後のリハに関する計画が不十分。
・実施計画書の内容に不備(患者の署名、医師の署名がない、理学療法士の氏名が漏れている)がある。
・標準的算定日数を超えてリハを行う患者について、治療の継続により状態の改善が期待できると医学的に判断された理由に係る診療録記載が不十分。
・機能訓練の内容の要点に関する診療録の記載が不十分。
・機能開始・終了時刻に関する診療録への記載が画一的。
・早期リハ加算及び初期加算について、手術を実施したもの及び急性増悪以外の患者に対して算定している。
・運動器リハ(Ⅲ)について、適切な運動器リハに係る研修を修了した柔道整復師等の従事者が訓練を行った場合において、医師又は理学療法士が従事者に対して行った事前の指示及び従事者から事後に受け取った当該療法に係る報告の内容が明らかでない。
・リハ総合計画評価料について、①記載内容が画一的かつ不十分、②医師及びその他の従事者は、作成したリハ総合実施計画書を、患者又は家族に説明・交付し、その写しを診療録に添付する、③リハの効果、実施方法等について共同して評価を行う前に算定している。
・目標設定等支援・管理料について、①目標設定等支援管理シートの写しを診療録に添付していない、②目標設定等支援・管理シートに基づいた説明内容を患者等がどのように受け止めたのかの診療録記載がない。
・摂食機能療法について、実施計画作成の際に頻回実施が必要と判断した根拠の診療録への記載がない。

【精神科専門療法、処置、手術】
・在宅精神療法について、当該診療に要した時間を適切に管理する。
・消炎鎮痛等処置について、医師の指示、実施内容に関する診療録への記載が乏しい。
・手術記録に担当医の署名又は記名押印がない。
・麻酔管理料(Ⅰ)について、麻酔前の診察等に関する診療録への記載が不十分。

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