2019年度個別指導における主な指摘事項(医科)(1)

 昨年度に愛知県で実施された個別指導において指摘された主な事項を抜粋して掲載する。診療録の記載や保険請求の算定ルールなど、日常診療の留意点として確認されたい。

【診療録等】
・診療録への記載について、①定められた様式でない、②「労務不能に関する意見」欄がない、③診療の点数等に関する様式(診療録第3面)がない。
・診療録第2面に算定項目の記載がない。診療録第3面に患者一部負担金の徴収金額が適正に記載されていない。
・医師による日々の診療内容の記載が不十分。診療録は診療の都度、遅滞なく必要事項(特に症状、所見、治療計画等)の記載を十分に行う。
・保険診療と保険外診療の診療録を区別していない。
・処方した薬剤に係る記載がない。
・傷病手当金意見書を交付した際に「労務不能に関する意見」欄の記載がない。
・紙媒体の記載について、①内容が判読できない、②時系列になっていない、③鉛筆で記載、④修正テープを使用、⑤複数の医師が一人の患者を診る場合に署名または記名押印が診療の都度なされていない、⑥枠外に記載、⑦独自記号を記載している。

【傷病名】
・入力・記載について、①診療録と診療報酬明細書の傷病名記載が一致しない、②「傷病名」欄の1行に複数の傷病名、又は欄外に記載している、③傷病名を二重線で削除している、④傷病名の終了日及び転帰の記載がない、⑤主病の指定が適切に行われていない、⑥転帰の記載がないまま傷病名が翌月に消失している。
・急性、慢性の記載がない(副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、胃炎、肝機能障害、膀胱炎など)。
・左右の別の記載がない(結膜炎、白内障、変形性膝関節症、足白癬、下肢湿疹、眼瞼皮膚炎、乳癌など)。
・部位の記載がない(動脈硬化症、慢性疼痛、湿疹、帯状疱疹、閉塞性動脈硬化症、毛細血管出血など)。
・単なる状態や病状を記載している(めまい、動悸、肩こり、頭痛、冷え性、食欲不振、経口摂取困難など)。傷病名以外の必要な事項は「摘要」欄に記載する。
・傷病名マスターに未収載の傷病名が記載されている。
・検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められた。傷病名のみでは不十分な場合は摘要欄に記載する。
・傷病名を適切に整理していない。傷病名には正しい転帰を付して適宜整理する。①傷病名が多数(慢性胃炎と胃潰瘍、胃癌の疑い)、②長期にわたる疑い病名や急性疾患等の傷病名(感冒、急性上気道炎など)、③重複または類似の傷病名(高脂血症と高コレステロール血症、便秘性過敏性腸症候群と便秘症、過活動膀胱と神経因性膀胱、変形性腰椎症と腰痛症など)。

【初・再診料】
・診療中の患者に対して新たな傷病の診断を行った際に、初診料を算定。
・再診に付随する一連の行為で行ったものについて再診料(電話再診)を算定している。
・外来管理加算の患者からの聴取事項や診察所見の要点に関する診療録への記載が不十分。
・地域包括診療加算について、①患者の同意を得ていない、②他の医療機関と連携の上、当該患者に処方されている医薬品をすべて管理していない。

【医学管理等】
・特定疾患療養管理料について、①治療計画に基づく服薬、運動、栄養等といった療養上の管理内容の要点に関する診療録記載が不十分。また、ゴム印で画一的に記載、②主病でない疾患に対して算定している。
・特定薬剤治療管理料について、薬剤の血中濃度、治療計画の要点の診療録記載が不十分。
・悪性腫瘍特異物質治療管理料について、①腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点の診療録記載が不十分、②悪性腫瘍の確定診断をしていない患者に算定している。
・小児特定疾患カウンセリング料についてはカウンセリングに係る概要についての診療録記載、てんかん指導料、皮膚科特定疾患指導管理料について、診療計画及び診療内容の要点に関する診療録記載が不十分。
・皮膚科特定疾患指導管理料について、他の診療科を併せて担当している医師が行ったものについて算定。
・外来栄養食事指導料について、①医師が管理栄養士に指示した事項の診療録記載が不十分、②指導時間に関する栄養指導記録への記載がない。
・集団栄養食事指導料の管理栄養士への指示事項の記載が不十分。
・慢性維持透析患者外来医学管理料について、計画的な治療管理の要点に関する診療録記載が不十分。
・慢性疼痛疾患管理料について、マッサージ又は器具等による療法を行っていない。
・耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料について、①診療計画及び診療内容の要点に関する診療録記載が不十分、②対象疾患ではない患者に対して算定している。
・がん患者指導管理料について、指導内容等の要点に関する診療録記載が不十分。
・退院時共同指導料1及び2について①患者又はその家族等に対して文書により情報提供していない、②提供した文書の写しを診療録に添付していない。
・退院時リハビリテーション指導料について①指導又は指示内容の要点の診療録記載が不十分、②指導内容として定められている項目以外の指導で算定している。
・診療情報提供料(Ⅰ)の交付した文書について①様式に準じていない、②交付日が未記載、③作成した医師名が未記載、④写しを診療録に添付していない。また、紹介先の機関名を特定しない文書で算定している。
・薬剤情報提供料について、薬剤情報を提供した旨を診療録に記載する。
・療養費同意書交付料について、はり・きゅうの施術に係る療養費の支給対象となる患者は、原則として当該疾患に係る主治の医師が、診療に基づき療養の給付を行うことが困難であると認めた者である。
・あん摩・マッサージ・指圧の施術に係る療養費の支給対象に該当しない疾病の患者に対して算定している。

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