金パラ改定 新ルールも抜本解決にはならず

「逆ざや」発生の原因は解消せず

 金パラ価格改定の新ルール(「随時改定Ⅱ」)により、7月から金パラの保険償還価格が1gあたり2,662円に引き上げられる。
 協会・保団連は、会員要請署名で歯科医師の切実な声を集めて、国会議員に届けてきた。新ルールは、その要求が厚労省を動かしたものといえる。しかし、新ルールが導入されても、「逆ざや」が抜本的に解決することにはならない。
 金パラ「逆ざや」問題には、次のような背景がある。歯科医療機関の収入である保険償還価格は固定されているが、支出となる材料の仕入れ額は、市場での流通価格である。その材料が貴金属であるが故、投機対象となり価格が乱高下するのが現実である。新ルールでは、3カ月の短期間に15%を超える変動がないと対応しない。以前のような緩やかな上昇には対応せず、「逆ざや」状態が放置されることとなる。薬や他の保険医療材料ではこのようなことはあり得ない。
 不安定な流通価格を基準とせず、国の責任において安定的な価格で歯科医療機関に供給しない限り、「逆ざや」を歯科医療機関に押しつける構造が変わることはない。他の選択肢として、非金属材料などの保険導入が考えられる。ジルコニアなどの比較的安価な材料の導入も視野に議論する時期が来ている。
 また、CAD/CAM冠に代表されるレジン系の材料は、主にメーカー主導のC2区分による場合が多く、歯科医療機関としては、新商品の開発を座して待つしかない。6月から、チタンがC2区分で保険医療材料として認可されたが、実施を前に会員からは「扱いづらい」「対応できる技工所は少ないのでは」などの声が上がっている。
 

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