2018・歯科診療報酬改定情報(4)

 今号では、2月7日に中医協から提出された答申内容に基づき、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の施設基準について紹介する。

「一物多価」で混乱や誤解も

 今回の改定では、歯科医療と医療・介護との連携が重視されており、「歯援診」においても地域の医療機関や介護関係者との連携実績が施設基準に盛り込まれるよう見直しが行われる。
 新しい施設基準(表)の項目のうち、(1)~(8)にすべて該当する場合は在宅療養支援歯科診療所1(歯援診1)、(1)~(6)にすべて該当する場合は在宅療養支援歯科診療所2(歯援診2)に分かれる。
 なお、3月31日時点で現行の「歯援診」の届出を行っている歯科診療所については、経過措置が設けられ、2020年3月31日までは「歯援診2」の基準を満たしていると認められる。
 「歯援診」が二つに分けられることで、歯科疾患在宅療養管理料は「歯援診1」「歯援診2」「それ以外の診療所」で、点数に差異が設けられた。また、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、新設される小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料は、「か強診」「歯援診1」「歯援診2」で加算点数に差異が設けられた。
 今回の施設基準では、「在宅医療を担う保険医療機関との連携」や「他の保健医療サービスおよび福祉サービスとの連携」が、「会議等への出席」や「技術的助言や研修等の実施」が具体的に求められた上に、入院から在宅に移る患者への指導料や、在宅患者へのリハビリテーション料などの「算定実績」が問われることになる。これでは、現状でも20%にさえ満たない「歯援診」届出のハードルを、さらに引き上げることになる。
 また、地域の高齢者・在宅療養患者を歯科医療面から支援する「歯援診」を二つに分け差別化することに積極的な意義を見出すことはできず、歯科診療報酬に「一物多価」を持ち込み、歯科医療機関のみならず患者にも混乱や誤解を招くことになりかねない。
 

 上記の表中、下線部が変更、もしくは新設される施設基準。
※1 2018年改定で変更される項目。加算1では、構成員として参加するチームが「栄養サポートチーム」以外に、「口腔ケアチーム」、「摂食嚥下チーム等」に広げられる。加算2では、対象患者の入所施設が「介護福祉施設」「介護保険施設」のほか「介護医療院」「認知症対応型グループホーム(認知症対応型共同生活介護または介護予防認知症対応型共同生活介護)」「特定施設」となる。
※2 2018年改定で新設される項目。15歳未満の在宅療養患者に、継続的な歯科疾患の管理を行った場合に算定する。

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