1月13日に開かれた中医協では、財務大臣と厚労大臣の改定率に関する合意文書である、「平成28年度診療報酬改定の基本方針」に基いて、中医協の意見を求める諮問が厚労大臣からされるとともに、「平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」(下表参照)が提案され、議論がされた。
現時点の骨子について、支払側の平川委員(連合総合政策局長)からは、かかりつけ歯科医がわかりにくいと説明を求める発言があり、歯科管理官から説明を受けるも「残念ながら実践が少ない。今回は時期尚早ではないか」と疑問を呈した。日歯の遠藤委員は、「口腔機能維持・向上で大筋合意されている。頻度として目立たないかもしれないが着実にやっていきたい」と述べた。中医協では1月22日まで、現時点の骨子に対する意見募集を行うことが確認された。
改定へのパブコメを提出
改定への意見募集に対して、協会からは以下のような意見を送っている。
・周術期口腔機能管理における病院と歯科診療所の連携が進むよう拡充してほしい。
・かかりつけ歯科医機能の評価については、身近な存在であるかかりつけ歯科医がその役割をしっかり果たせるよう一部の歯科医療機関しか届出できない基準を設けないでほしい。包括点数や算定回数制限などは設けないでほしい。
・歯科訪問診療料は、療養場所や人数による点数設定など、複雑にせず簡素化してほしい。極端な点数格差はなくしてほしい。
・歯科初診料、歯科再診料は医科との格差を是正して引き上げてほしい。
・歯科疾患管理料の文書提供は、患者の求めや歯科医師の判断に応じて実施するように見直してほしい。患者への情報提供を行った場合は、別点数で評価してほしい。
・基礎的技術料を引き上げてほしい。
・過去に包括され点数のなくなったラバーダム防湿法や補強線などの点数を復活し、適切に評価してほしい。
・評価の低い補綴関連点数を引き上げてほしい。
・歯科診療所で提供され安全性の確認されている新しい技術や材料を保険導入してほしい。
改定で評価すべき新規・既存技術を確認
1月20日の中医協では、医療技術評価分科会で検討された2016年改定で評価すべき新規保険収載等の医療技術が提案され、了承された。「評価すべき優先度が高いと考えられる医療技術」は、全部で223件(新規技術78件、既存技術145件)で、そのうち歯科関連は新規技術六件、既存技術19件。新規技術の中には、この1月から保険導入がされたファイバーポストを使用した支台築造も入っているが、その他にはシェードテイキング(色調採得)、顎関節授動術(関節腔洗浄療法)、顎裂部への顎骨支持型装置埋入手術、手術直後に装着する顎義歯の適用、フィックスドリテーナーが入り、今回の改定で保険適用となる。
また、「保険導入が適当であると評価された既存の先進医療」の中に、有床義歯補綴治療における総合的咬合・咀嚼機能検査が入り、これも今回改定で保険導入されることが確定した。
1月22日に公聴会を開催
1月22日には埼玉で中医協公聴会が開かれ、公募から公益委員が選定した十人の発表者から意見が述べられた。
歯科からは、中村勝文氏(川口歯科医師会会長)が意見を述べた。中村氏は、「初・再診料は歯科医師の技術を評価する上でも、医療経営を支える原資と言う意味でも重要な点数であり、人件費や施設費に見合った額まで引き上げることが必要である。また、今後さらに増加する在宅患者の口腔機能の維持・向上を進めていく観点からも、在宅歯科医療も含め歯科全体の評価の充実が重要となる」と主張した。
なお1月27日の中医協に、改定点数等が入っていない個別改定項目(いわゆる短冊)が提示された。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準や在宅歯科医療を専門に実施する医療機関の開設要件などの他、処置や有床義歯にかかわる点数の見直しなどが示されている。