突合点検・縦覧点検・ 算定日記載に関わる留意点

突合点検・縦覧点検・ 算定日記載に関わる留意点

【突合点検】
 医療機関から提出されたレセプトと調剤薬局から提出されたレセプトを突き合わせて、薬剤の適応外使用や病名もれをチェックするもの。
【縦覧点検】
 過去半年分のレセプトデータを蓄積して、「二カ月に一回」や「同一初診内一回」など、請求回数に制限のある項目などについてチェックをするもの。
【算定日記載】
 それぞれの点数について項目ごとに算定日を付してレセプト記載をするもの。

 今年2月診療分(3月請求分)から電子レセプト請求を行っている医療機関を対象に突合・縦覧点検が始まった。また、4月診療分(5月請求分)からは同じく電子レセプト請求を行っている歯科医療機関を対象に点数ごとの算定日記載も始まっている。審査については、基金と連合会でも取扱いがそれぞれ異なるが、今後考えられる問題点などについて紹介する。

突合点検

 突合点検は、投与された薬剤の適応がレセプトにある傷病名に合致しているか、また用法・用量に問題がないかをチェックするもの。疑義が生じた場合には、「突合点検結果連絡書」が医療機関に送付され、医療機関から申し出がない場合は、翌月の医療機関への支払分から減点される。
 返戻や減点を減らすためには、医療機関でも今一度、処方している薬剤の適応や用法・用量などを確認する必要がある。また、請求の際には病名もれがないようチェックすることも有効な対策法である。

縦覧点検

 縦覧点検は、患者ごとに半年分のレセプトを時系列に並べて診療報酬の算定要件に合致しているかをチェックするもの(ただし、補管などのように半年を超えるルールについては、その期間蓄積される)。
 例えば、機械的歯面清掃処置は、二月に一回の算定であるが、従来の基金や連合会の単月審査では「摘要」欄記載でしか前月算定の有無は確認できなかった。縦覧点検によって、前月算定の有無を基金や連合会でも確認できるようになる。その他にも義歯管理料ABCの算定時期や同一初診内同一歯に対する充形の再算定の時期、一カ月以内に歯科訪問診療料算定のない訪問歯科衛生指導料などが確認できる。
 支払基金が公表している審査状況を見ると、まだ開始されたばかりであるため、月によってばらつきはあるものの、歯科では縦覧点検での減点件数が多いことがわかる。この縦覧点検と後述の算定日記載を組み合わせた返戻・減点が今後増加することが予想される。

算定日記載

 算定日記載は、各点数の算定日を記録して請求を行うもの。審査の場では算定項目を時系列で並べて表示できるようになるため、所見のないカルテを開示しているのと同じ状態であるとも言われる。
 算定日情報を利用すると今までの審査ではチェックできなかった項目についても減点・返戻を行うことが可能となる。
 例えば、切開と同日の歯周病検査については、従来の紙レセプトでは、実日数が複数日あれば、同日に行ったものかどうか判断がつかないため、審査の対象とはならなかった。しかし、算定日情報がついたレセプトでは同日に行ったものであることが分かるため、審査の対象となる。その他、算定日記載によってチェックされると思われる事例としては、別記(【参考】参照)のようなものが挙げられる。
 また、現在は審査の対象になっていないと思われる項目でも今後の運用次第では対象が拡大される可能性もある。例えば、スケーリング、SRP後の歯周組織検査の時期など歯科医学的に妥当性を欠くと思われる治療の流れなどは審査上、疑義を持たれる可能性がある。
 縦覧点検や算定日記載によるチェックへの対策としては、診療報酬への理解を今まで以上に深めることが重要となる。また、返戻や減点に対しては放置せず、その理由を明らかにして、誤りがある場合は次回以降の請求に反映することも益々大切になっている。返戻や減点などで、不明な点がある場合、協会歯科担当事務局まで気軽に相談を。

【参考】算定日記載で返戻・減点となる可能性があるもの

①P、G病名がある場合で、歯周病検査算定以前に歯管の算定がある

 歯管の算定に際して、歯周病に罹患している場合の管理計画書には、歯周病検査も踏まえた歯周病の治療指針を含むものとするとなっていることから、歯周病検査の算定日以前に歯管の算定はできない。
 

②初回の歯管が算定される前に機械的歯面清掃処置の算定がある

 機械的歯面清掃処置は、算定要件として「歯管または歯在管を算定した歯周疾患の患者に行う」とあることから、初回の歯管または歯在管の算定日以前に機械的歯面清掃処置の算定はできない。ただし、次月以降は、その月に歯管または歯在管の算定がなくても、機械的歯面清掃処置は算定できる。
 

③T-cond期間中の有床義歯管理料(義管B)算定

 T-cond期間中は義歯管理料は算定できない。
 

 また、T-condと同日の義歯管理料も算定できない。
 

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