歯科診療報酬改定情報(6)

 1月30日に開催された中医協総会に、歯科診療報酬の個別改定項目についての資料が出された。この資料は、診療報酬の改定を行う具体的な項目を示したもので、点数は示されていない。点数については、2月上旬に答申と同時に示される予定。主な内容は以下のとおり。


訪問診療(一人のみ)の評価を引き上げ


 在宅歯科医療については、今次改定の重点課題として上げられており、いくつかの見直しが行われる。
 歯科訪問診療料については一人のみに対して訪問診療を行う場合の歯科訪問診療料Ⅰの評価を引き上げる。また、診療時間が20分未満である場合でも容体の急変などでやむを得ず治療を中止した場合は歯科訪問診療料を算定できるようにする。
 在宅患者等急性歯科疾患対応加算は、算定要件を見直し、同一建物一人のみ訪問診療を行う場合、同2~5人訪問診療を行う場合、同6人以上訪問診療を行う場合で区分する。
 なお、訪問診療時に歯科衛生士が補助を行った場合の評価として、歯科訪問診療補助加算も新設される(ただし、算定できるのは在宅療養支援歯科診療所のみ)。

歯周病部分的再評価検査が新設


 歯周疾患関連では、歯周外科手術を行った部位に対して術後に評価を行うことを目的とした「歯周病部分的再評価検査」が新設される。この部分的再評価は歯周病のガイドラインに記載があるにも関わらず、愛知県では今まで算定ができないとされていたもの。
 また、歯周病安定期治療(SPT)については、歯周外科手術後にしか認められなかった連月の算定を、全身疾患が歯周病に大きく影響を与える場合や、全身疾患の状態で外科手術ができない場合などにも拡大する。その他、歯周基本治療・歯周外科手術などについても点数の見直しが行われる。

機械的歯面清掃を独立して評価


 歯科疾患管理料、歯科疾患在宅療養管理料の加算であった機械的歯面清掃を機械的歯面清掃処置として単独で評価する。これは、保団連・保険医協会も不合理であるとして是正を求めていたもので、独立項目となったことによって歯管・歯在管の「算定日」でなくても歯管・歯在管を算定した患者であれば算定が可能となる。

充填の評価体系を見直し


 充填については、これまで、「単純なもの」と「複雑なもの」として評価してきた。今次改定では、歯面処理を行った場合と行わなかった場合で2つに分け、それぞれ「単純なもの」「複雑なもの」として評価する。
 その他、前歯部にしか認められなかった接着ブリッジを臼歯部にまで拡大する。また、評価の見直しとして、歯内療法、印象、BT、充形、歯冠形成、鋳造冠、ポンティック、有床義歯などの技術が具体的項目としてあげられていることから、多項目で点数の見直しが行われることとなる。

CTを歯科診療報酬で評価


 新規技術としては、インプラント義歯(保険外併用療養で先進医療として評価されていたもの)が保険導入される。ただし、実施医療機関の施設基準として「病院であること」などが要件とされているため、一般診療所では算定できない。また、医科の準用点数であったCTが歯科点数表の項目として新設される。

周術期における口腔機能管理の評価を新設


 手術前後に歯科医師が包括的な口腔機能の管理を行った場合の評価として、「周術期口腔機能管理計画策定料」と「周術期口腔機能管理料」が新設される。「管理計画策定料」については、患者への文書提供が算定要件。管理料については、(I)(II)(III)の三つに分かれ、(I)は手術を行う病院以外で管理を行った場合、(II)は手術を行う病院で管理を行った場合、(III)は放射線治療等の治療期間中の患者の場合に算定する。

通知の整理による算定要件の見直しも


 これまでの中医協の議論では、通知の整理・簡素化なども診療側の要望として出されていることから、見直しが行われる可能性が高い。例年、通知が出されるのは3月上旬頃で、現時点ではどの様な変更が行われるか不明だが、従来の改定では通知の変更で算定が狭められることも多いことから注視していく必要がある。

介護では居宅療養管理指導の評価体系を見直し


 2012年は介護報酬についても3年に一度の改定が行われる。1月25日に答申された内容には歯科関連の項目も含まれている。
居宅療養管理指導については、「医師又は歯科医師が行う場合」との項目を分離して、「歯科医師が行う場合」を単独で評価している。算定要件については、同一建物1人のみの場合は500単位、同一建物複数の場合は450単位となる他、ケアマネジャーへの情報提供が義務化され、情報提供を行わなかった場合の100点の減算が廃止される。

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 保険医協会では、3月下旬に歯科診療報酬・介護報酬改定のテキストを送付するとともに、改定説明会を3月31日(土)に豊橋で、4月1日(日)に名古屋で実施する予定である。

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