歯科診療報酬改定情報(5)
基本診療料の引き上げを巡り意見が対立
1月13日と18日に中医協総会が開催され、18日には厚生労働大臣から中医協に対して診療報酬改定についての諮問書が出された。
総会では、厚労省が作成した「平成24年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点での骨子)」をもとに議論が行われた。診療側からは、医科・歯科ともに再診料を引き上げる必要があるとの発言が出された一方、支払側は患者負担増に繋がるなどの理由をあげて再診料の引き上げに反対の意向を示した。
13日には、新規技術の導入や既収載技術の評価についての検討を行っている医療技術評価分科会も開催された。同分科会で、新規保険収載等の評価をする優先度が高いと考えられる技術として、歯科関連では、充填料の増点、SPT、歯肉剥離掻爬術、GTR法などがあげられている。
中医協にパブリックコメントを提出
1月18日に諮問が行われたことをうけて、18日から25日までの期間、「現時点での骨子」についての意見募集(パブリックコメント)が行われた。協会歯科部会からも、基本診療料の引き上げ、長年据え置かれている基礎的技術料の引き上げ、機械的歯面清掃加算を独立した医療行為として評価すること、ラバーダム・歯肉息肉除去・補強線など包括された点数の復活、往診料の復活、歯科訪問診療料の時間要件の撤廃、新規技術の保険導入などの意見を提出した。
津島市で公聴会
中医協は、諮問・「現時点での骨子」を受けて公聴会を開催した。今回の公聴会は愛知県津島市で行われ、歯科では、兜森正道氏(愛知県歯科医師会常務理事)が意見発表を行った。兜森氏は、歯科医院の経営自体が困難な状況にあるとして、患者の多様化するニーズへ対応するためには基本診療料の引き上げをすべきと述べた。また、長年評価の据え置かれている技術の評価引き上げや細かく規定している通知の簡素化、必要な治療を妨げるガイドラインの機械的な適用などについても指摘した。
中医協では意見募集や公聴会を踏まえて議論を進めていく予定であるが、短い改定までのスケジュールの中で、どの程度意見が反映されるのか疑問視する声もあり、注視していく必要がある。