歯科 審査・指導アンケート結果から 4

高点数を理由にした指導の選定には

昨年の9月~10月にかけて、東海4県下の保険医協会歯科開業医会員を対象に、「審査・指導に関するアンケート」を実施した。アンケートには愛知県内で430人(4県合計で782人)の協力があった。愛知県の特徴を中心に以下、その概要を紹介する。

審査内容は経済的との評価が半数
審査の現状について尋ねた項目では、社保・国保ともに「満足」が1割程度、「不満」が2割程度であった(グラフ1・2)。審査内容については、「経済的審査である」との回答が5割程度(社保52.3%、国保47.9%)と最も多く、「審査委員による差がある」「保険者の立場である」が4割程度で続いている(複数回答)。一方で、「学術的審査である」との回答は1割程度、「医師の立場である」との回答は5%未満と非常に少ない。

査定(減点)の理由が分かりにくい
返戻については、「納得できる場合が多い」は社保80.9%、国保83.3%で、「納得できない場合が多い」は社保16.3%、国保13.2%。返戻で納得できなかった事例としては、資格関連が多くあげられており、保険証を確認したにも関わらず資格を喪失していたなどの例が多数あった。
一方、査定(減点)については、返戻に比べ「納得できない場合が多い」との割合が高い。ただし、経年で比較してみると、「納得できない場合が多い」との割合は減少しており、改善傾向が見られる(グラフ3・4)。査定(減点)で納得できなかった事例としては、減点の理由が分かりにくいとの声が多く、査定通知の平易化や審査基準の周知などが求められる。
納得がいかない査定については、再審査請求を行う必要がある。しかし、9割近い医療機関がこの1年間で査定(減点)を経験している一方で、再審査請求を今までに行ったことがある医療機関は社保で26.5%、国保で19.3%にとどまっている。査定に不満があっても再審査請求を行わない理由としては「面倒だから」が最も多く、「目をつけられるような気がする」が続いている(グラフ5)。

個別指導は「官僚的」との印象が増加
集団的個別指導については、「受けたことがある」との回答が47.9%と約半数に上っている。内容については「一般的であまり参考にならない」との回答が74.8%で、「有意義で参考になった」(10.2%)を大きく上回っている。また、「威圧的」との回答も10.7%寄せられた。選定理由として高点数を用いていることについては反対が半数を超えている(グラフ6)。
個別指導については、「最近5年以内に受けた経験がある」との回答が7.2%。その印象を経年で比較すると、「威圧的」との回答が減少している一方で、「官僚的」との回答が大きく増加している(グラフ7)。保団連や保険医協会の運動もあり、恫喝に近い指導は減少してきている一方で、ガイドラインなどを機械的に当てはめる形の指導が増えていることが伺われる。
指導の選定方法については、「高点数を理由にした選定には納得がいかない」「患者の少ない医療機関では必然的に平均点数が高くなる」「指導が医療費抑制のために使われている」など多くの声が寄せられており、制度の抜本的な見直しが求められる。
また、個別指導では、「持参物が多く準備が煩雑である」「もっと、学術的、理論的、専門的に行ってほしい」「なぜ指導の対象となったか教えてほしい」などの意見が寄せられている。

録音・弁護士帯同を希望が4割
今回の調査ではじめてアンケート項目に加えた、録音と弁護士帯同については、この様な制度があることを知らなかったとの回答も多い(グラフ8)。録音や帯同を行ってみたいとの回答が4割を超えている(グラフ9)ことは、個別指導に対する不安が大きいことを表している。協会では、個別指導の事前・事後の相談に応じている他、弁護士帯同についても弁護士の紹介なども行っている。
(おわり)

ページ
トップ