2024年度診療報酬改定 7割以上の医療機関で減収 アンケート結果の報告

 保険医協会では、医科開業医会員を対象に2024年度診療報酬改定について10月にアンケート調査を実施し、824医療機関(回答率24.4%)から回答を得た。アンケート結果を報告する。
回答のあった医療機関の診療科目(主な診療科一つのみ)は、内科が58.0%で半数を占めた。(表1)

改定内容に「不満」8割以上
 今次改定に対する評価は「大変不満」が43.1%、「不満」が38.0%で、「大変不満」と「不満」を合わせると8割を超えた。(図1)

 2024年7月の診療報酬請求額を、昨年の7月と比較するとマイナスだったと答えた医療機関は7割を超えた。その内訳として「マイナス5%未満」が19.7%、「マイナス5%からマイナス10%未満」は22.7%、「マイナス10%からマイナス20%未満」は20.4%で、それぞれの回答が約2割を占めた。また「マイナス20%以上」の医療機関も7.5%あり、多くの医療機関が減収となったことが明らかになった。(表2)

特定疾患療養管理料・生活習慣病管理料について
 高血圧症、糖尿病、脂質異常症が特定疾患から外され、特定疾患療養管理料及び特定疾患処方管理加算が算定できなくなり、生活習慣病管理料Ⅰ又はⅡに移行せざるを得なくなったことへの評価について、診療報酬改定以前から、特定疾患療養管理料を算定している医療機関から回答を得た。回答のうち診療科を内科にしぼって集計すると、「大変不満」が51.3%、「不満」は32.5%で、「大変不満」「不満」を合わせると8割を超えた。
 これら「大変不満」「不満」の理由(全科対象・複数回答可)については、「療養計画書の作成と患者の同意をとるのに時間がかかる」が53.3%で5割を超え、次いで「減収となったから」が42.7%、「併算定できない点数が多い」が32.8%だった。(図2)

 不満の理由「その他」では、「患者から算定について不満が寄せられる」「労力に見合わない効果と報酬」などたくさんの声が寄せられた。
 新設された生活習慣病管理料Ⅱについて、算定時に包括されて困っている点数(複数回答可)については、「特定疾患処方管理加算」が44.2%で、「外来管理加算」が43.7%だった。(図3)

ベア評価料「手続き煩雑」「事務職が対象外」など不満の声
 ベースアップ評価料については「評価しない」が57.6%だった。またベースアップの方法については「基本診療料等の引き上げにより行うべき」が73.9%で最も多かった。当該評価料の問題点については「届出や実績報告の手続きが煩雑すぎる」が82.8%、「賃上げに際して当該評価料だけでは不十分」が49.5%と不満の声が挙がった。(図4)

 また、「その他」の意見として「事務職が対象外である」ことや、「そもそも患者に負担させるのはおかしい」と言った意見が多かった。

医療DX加算「評価しない」が5割
 医療DX推進体制整備加算についても「評価しない」が50.5%で、その理由として「施設基準が複雑」は42.2%、「診療報酬で政府が進める政策に誘導すべきでない」が38.8%だった。(図5)


その他、改定内容で困っている点ではフリーコメントでたくさんの意見が寄せられた。中でも「改定内容が煩雑すぎる。そのために事務作業に時間がとられる」という趣旨の怒りと不満の声が多く寄せられた。また、「評価が低く納得できない。その上、人件費・材料費・薬剤費も増加している」といった状況や、「廃業を考える」「先行き不安」といった深刻な事例も寄せられた。

その他寄せられた意見等は以下のPDFをご覧ください。

 保険医協会ではこのアンケート結果を今後の診療報酬改善運動に活かしていく。アンケートの詳細は協会ホームページにも掲載する予定。アンケートにご協力を頂き有り難うございました。

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