2023年度の指導 高点数理由の個別指導は今年度も実施されず(2023年7月5日号)

 保険医療機関の指導等については、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年度からは指導大綱どおりには実施されていない。5類感染症に移行した今年度も、各厚生局に対して指導等の実施にあたって引き続き十分な感染対策や必要に応じて指導時間の短縮等を考慮することなど、適切な対応を求める厚労省事務連絡が出されている。
 具体的には、保険医療機関の指定時や更新時などに行われる集団指導は、eラーニングを原則として実施され、平均点数が高い医療機関を対象とする集団的個別指導は、昨年と同様に集合形式(集団指導のみ)で実施される。
 個別指導については、新規指定医療機関の個別指導は従来どおり実施されるが、既指定医療機関に対する個別指導では、高点数理由によるものは実施されず、再指導や情報提供による個別指導が実施されることとなっている。厚労省は集団的個別指導を受けた医療機関が翌年度に高点数に該当した場合の翌々年度の個別指導は、2024年度から再開の予定であり、今年度の状況を見極めた上で実施の可否を判断するとしている。
 東海北陸厚生局指導監査課のホームページでは、すでに今年度の集団的個別指導の選定に係るレセプト一件当たりの平均点数が公開されている(下の表)

 昨年も新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の特例措置がとられており、単純に比較することは難しいが、診療科区分別の平均点数をみると、内科(透析有を除く・在宅)では137点、精神・神経科で176点、小児科で160点、産婦人科で628点、平均点数が上がっている。新型コロナの特例措置に加え、昨年四月には診療報酬改定も行われており、特に産婦人科で大幅に上がっているのは、不妊治療の保険適用の影響と考えられる。
 集団的個別指導は、各医療機関の前年のレセプト1件当たり平均点数の1.2倍(病院は1.1倍)を超え、かつ上位8%に該当する場合に対象となる。個々の医療機関の平均点数については、東海北陸厚生局指導監査課に照会すると知ることができる。
 協会では、東海北陸厚生局に2022年度の指導実績や2023年度の指導計画等に関する行政文書の開示請求を行っている。各医療機関の平均点数算出時の院外処方・院内処方の調整点数、指導対象件数などの指導対象選定委員会の資料を含め、情報が開示され次第、保険医新聞で報告する。

ページ
トップ