2021年10月7日

診療報酬引上げ-医師・歯科医師署名で勝ち取ろう

(愛知保険医新聞2021年10月5日号)

来年度政府予算概算要求で、社会保障費の自然増6,600億円をさらに圧縮する動きが強まっている。深刻な医師・看護師不足の事態を前に、求人のマッチングサイト運用や看護師の復職支援などがあるだけで、抜本的に解消する方策は示されていない。コロナ禍で疲弊した医療現場を立て直す診療報酬引き上げにも触れられていない。それどころか、「病床機能再編支援事業」など病床削減の地域医療構想推進には九百億円近い予算を計上している。
6月に閣議決定した骨太の方針2021でも「更なる包括払いの在り方の検討」「OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲の見直し」「地域医療構想調整会議における協議を促進」などと診療報酬改定には包括化や保険給付範囲縮小、病床削減の姿勢が明記されている。
来春の改定に向けた8月末の中医協総会では、コロナ禍に耐えられるだけの基本的な経営体力が医療機関に備わっていないことが指摘された。その一方で、支払側は医療提供体制改革は急務の課題として、「2024年度で対応は遅すぎる。2022年度改定で地域医療構想を後押しする内容とすべき」と求め、コロナ入院患者を多く受け入れた病院を急性期モデルに定めて、中小病院を整理・淘汰する考えを示している。
患者さんに提供する医療水準の担保や、医療従事者の技術の正当な評価、診療所や病院それぞれの医療施設の基盤強化のためには、診療報酬の大幅引き上げが必要である。OECD諸国と比較しても、日本の社会保障費は低すぎる。日本集中治療医学会の提言(9月13日)は、集中治療医は今の三倍は必要としている。社会保障拡充のため財源確保が世界の主流である。
2002年からの累次のマイナス改定で、引き下げ幅は10%以上にのぼる。次期診療報酬改定で私たちが10%以上の大幅な引き上げを求めることは最低限の要求であり、大義がある。
また、診療報酬の引き上げとともに、安心して受診できるためには、「患者窓口負担の軽減」は、不可分の要求である。常に患者さんに寄り添う私たちが、患者負担軽減を強く求めていく必要がある。
改定率は、年末には決まる見込みである。協会では、診療報酬の引き上げと患者負担の軽減を求めて、医師・歯科医師要請署名に取り組む。多くの医師・歯科医師の賛同をお願いしたい。

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